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コラム


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 私は本当にせっかちだ。エスカレータに乗れば必ず右側(関東の場合)を歩いて上ってしまう。時間は十分あるのに。そもそも会議は5分前までに座って開始を待ち、初めての場所の訪問の際は30分前に着いて場所を確かめ、国内線での航空機移動の際は1時間前に空港に着いている、というのを何十年も頑なに守ってきたので、ぎりぎりに駆け込むことなど事故でもない限り考えられない。それでもなぜか歩いて上り下りしてしまうのだ。

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 高校の同期のメーリングリストで、ちょっとだけ盛り上がった話題があった。きっかけは、ある全国紙に投稿された短歌に対する選者のコメントに対する意見である。その短歌はLIFE(人生)にIF(もしも)が含まれているということを歌ったものだった。私には短歌自体にも選者の言葉にもメーリングリストで語られた内容についても、あまり共感するものはなかった。ただ、もう70歳を迎える(迎えた)、立派なキャリアを持った(言ってみれば)功成り名を遂げた同期の男性たちが、

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 死後の世界とか、霊魂とか幽霊とか、UFOとか宇宙人とか、様々な超常現象などを私は信じていない。言い換えれば、そういったものが存在しないことを信じている。それは、存在することが理解できないから信じないのではない。私の頭では理解できないことは世の中に無数にある。でも、誰かがその存在を否定してくれ、その否定した理由が理解できれば私は否定した側についてしまう。結果として様々な超常現象が存在しないことを信じる。

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 頭を柔軟にすることで新しい発想ができる、と学生には常日頃から言っている。それには、頭を柔軟にするきっかけが要る。そのひとつが何らかの制約ではないかと思う。制約にも、「どうしてもそうすることができない」という逃げられない制約(例えば、私が年齢の制約で人気アトラクションを体験できないなど)と、あえて自分で設定する制約(例えば物を増やさずに生活環境を一変させるなど)がある。後者の場合は、制約を作ること自体が楽しいし、そこでも頭を柔軟にする必要がある。

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 4年ほど前になるが、突然声が出なくなった。風邪を引いたわけでもないのに一体なぜなのか。大学の教員にとって「声」は最も重要な道具である。その道具を失ったら一体どうすればよいのか。少々大げさに聞こえるかもしれないが、それくらいの衝撃だった。ちょうど中間試験の時期だったので、復習のための演習や試験で声を使わなくとも済むようにし、授業のない日に医者に行くことにした。大学の最寄り駅からスマホで医院を検索した。場所を地図で見ると意外に近い。

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 現在、自宅から電車を乗り継いで3時間ほどのところに滞在している。大学の授業もないので、自由な時間を満喫しているところである。毎朝、歩いて10分ほどのところにある広大な県立公園に行き、1時間くらいかけて散歩する。まだ園内の全てを踏破してはいないが、全体像は掴めてきた。好きな場所も何か所かできた。池が見渡せる場所、芝生のグランドが見渡せる場所などである。そこにあるベンチに腰かけて、スマホで日経電子版を読む。

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 テレビや雑誌の特集などでついのめりこんで見入ってしまうものがある。着物や帯をドレスにリメイクする、あるいは、流行遅れやサイズが合わなくなって着られなくなった洋服を、最新ファッションにリメイクする、といった番組や記事である。自分では洋裁の技術を持たないのでできないが、プロに頼めばこんなことができるのか、といつも感動している。私が結婚するときに親が仕立ててくれて一度も袖を通したことのない着物も、多分子供たちは見向きもしないだろうから、いずれは何かにリメイクしたいものである。

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 電車に乗っていてドッキリすることがある。バタンという音である。大抵は雨の日で、傘を倒す音である。ドサッという音もある。誰かの荷物が網棚から落ちたのだろうか。でも最も多いのは、カタンという大きくはないが小さくもない物が落ちる音である。間違いなくスマートフォンを落としした音である。 私は最初にiPhoneが出たときからスマホを使っているが、自慢ではないが落としたことは無い(と思う)。特別なカバーをかけているわけではなく、100円ショップで購入した合成樹脂のものである。現在のスマホはiPhone SEで、私の小さな手によくなじみ滑り落ちることがない。それにしても、老いも若きもどうしてスマホをよく落とすのだろうか。

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 7月の3連休の中日、自治会の役員会に出かけた私は暑さの直撃を受けた。まだ朝の9時半である。そして終了した12時半、帰宅途中の私は、全身の水分が煮えたぎるようだった。その日はそれで終わらず、午後にも夏祭りの打ち合わせの会合があった。部屋はがんがん冷房を利かせていて羽織るものが必要なくらいだったが、帰宅時はやはり私の血は煮えたぎっていた。ただし、足元はふらついていたが。

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 かれこれ1か月間、仮想通貨のイーサリアムと格闘してきた。もちろん本物ではなく、自分で作ったプライベート・ネットワーク上で動かして勉強(遊び?)しているのである。その経緯は7月初めのコラム「本質的な問題解決には程遠いのだが」で書いている。あの時点で、教科書通りにイーサリアムのプログラムを仮想マシン上で動かして、マイニングしたり送金したりはできていた。問題はそこからである。せっかくなのでブロックチェーンの仕組みを勉強しようと、コントラクトというプログラムを作ってブロックチェーンにデプロイ(登録)しようとして進まなくなった。

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 毎週木曜日の私の楽しみは、NHKのBSプレミアムで放送されている「幻解!超常ファイル」を観ることである。毎回「そうだったんだ」と驚くことばかりである。何で『ノストラダムスの大予言』はあれほどのブームになったのか、何で超能力者による未解決事件の捜査はちっとも成功していないのにテレビで人気なのか、などなど、裏話を知れば納得してしまう。そして、心霊写真や監視カメラに映る幽霊の映像やUFOの映像のからくりも。

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 タイトルを決めたら、最初考えていた出だしとは違うものが浮かんでしまった。いつも言っているこんな内容である。「仕事のキャリアの上で大きな影響力を持つのは、体力も知力も充実した20代後半から30代前半ではないか。この時に基礎的な力を蓄え、それを活用して30代後半から40代でキャリアを充実させていく。さらに50代からは次のキャリアのための準備をし、人生100年時代における生涯現役を目指すべきだろう」。でも、今回伝えたかったのはそんな話ではなかった。もう一度初心(つまり今朝の通勤電車の中で思ったこと)に戻って仕切り直そう。

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 今まさに話題の中心にある仮想通貨の基本的な技術であるブロックチェーンを学ぼうと、大学のパソコンに仮想的な環境を作ってみた。もちろん参考書となる書籍はある(あえて書籍名は書かないが)。使用しているパソコンのOSはWindows 10である。その上に仮想化ソフトウエアのVirtualBoxをインストールし、その上にゲストOSのUbuntuをインストールする。そしていよいよビットコインの基盤ソフトであるBitcoin Coreをインストールしてテスト環境を作って実行。「おお、動いてる。マイニングも送金もできてる」。

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 「新たなものを創造するには、想像力を高めて柔軟な発想をする必要がある」と学生には常々言っている。柔軟な発想は幼いときの方ができるように思える。それは経験を積んでない分、囚われるものが少ないからである。一方、想像力は大人の方が豊かなはずである。なぜなら、多くの経験は互いに結びついて頭の中で新たなものを生み出すことができるからである。高齢者はせっかくの想像力を過去の経験に囚われることで抑え込んでいる可能性がある。柔軟性と想像力の両方が充実した青年期が一番創造性を発揮できるはずである。ぜひそれを活かして新たな事に挑戦してもらいたい。

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 大学で2台、家で2台のパソコンを利用していた。家で使っているデスクトップパソコンが古くて問題が多くなってきたので、それに代わるもう一台の(大型の)ノートパソコンを加えた。大きな画面で見やすい、指紋認証の精度が良いなどは歓迎できるのだが、使っていてイライラする点も多い。その癖を早く捉えてうまくつきあっていくしかないだろう。朝起きてから寝るまで、電車に乗っているときのスマホ(iPhone)を含めれば常にパソコンを触っている生活をしている。

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 先日、会社員時代のうちでも新卒で入社した当時の上司や同僚との飲み会があった。その中で、1年先輩の男性から「入社した頃は、朝、女性社員が部の全員にお茶を出していた」。という話が出た。ところが、私には、昼食時に課長にだけお茶を出していたことは記憶にあるが全員にお茶を出した記憶はない。つまり、私が入る前の年まででその職場ルールは無くなったということになる。ふと、1年先輩の女性達の顔が浮かんだ。いつもはっきりと会社に対して意見を言える強い女性達だった。多分、彼女達が変えさせたのだろう。何も知らない私はその恩恵を享受していたわけだ。

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 何十年も続いた生活習慣を変えることは、その習慣が意味のないことや悪い影響を与えるものであっても難しい、と常々考えていた。ところが、70歳を間近に控えた最近になって、それがいとも簡単に実現してしまった。 一つ目は、長時間にわたる通勤時間を使っての英語のヒアリングである。1000時間ヒアリングマラソンというCDの教材を契約し、1000時間を稼ぐために常にイヤホンを耳に入れていた。それがかれこれ20年に及んだ。その効果がないことは明らかだった。そもそも通勤時間中は殆ど眠っている。歩いているときも考え事をしてしまうので、英語をまともに聴いている時間がごくわずかであることは自分が一番よく知っていた。

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 毎朝の通勤電車で、どこに立つか迷う。立った場所の前に座る人は何時まで経っても降りず、その両隣がさっさと降りていく。ああ、そちらに立てばよかった、と思う。実際は運よく早く座れることも多いのに、そちらはすぐ忘れる。夫の遺産相続で手に入れた某社の株がすぐに値下がりし長い間低迷していたが、ようやく戻ったので売った。すると次の週からぐんぐん値上がりするではないか。ああ、もう1週間売るのをがまんしていれば、と歯ぎしりしてしまう。株で損した訳でもないのに大損した気分になる。つまり、逃がした魚は大きい、ということなのだ。まずいのは、それらがマイナス貯金として蓄積されて行ってなかなか減らないことである。

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 今年は、私の研究室に15人の学生(3年生と4年生)が来た。まずは、自分の関心あるジャンルのテーマを探し、それについて現状調査を行う。そこから研究テーマを絞り込んで、SNSのデータを収集して分析を行い、新たな事実や問題を発見したり、問題の解決策をTRIZという創造性技法を使って発想したりする。4月、5月は現状調査の時期である。15人の持ってきたテーマは15色ある。IT業界や物流業界における労働環境の問題解決、格安SIM業界と三大キャリアのこれからの方向性、といったビジネス分野もあれば、保育園の待機児童の問題や高齢者向けスマートフォンのあるべき姿といった現実社会に密接に関連したもの、AIなどの先端ITの発展による生活の変化、仮想通貨の問題点と解決策、といった技術的なテーマもある。

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 少子化と保育環境、待機児童について調べている学生の報告に驚いた。古いデータらしいが、保育園に通っている子供の数が幼稚園に通っている子供の数の1.8倍もある。幼稚園は3歳児から5歳児までが通うのに対して、保育園は0歳児から5歳児までであるので、保育園児の方が多くて当然なのだが、ここまで差があるとは思わなかった。学生には、さらに子供の数の推移や幼稚園教諭、保育士の数、施設数など詳細に調べるように伝えた。しかしどうも気になるので、自分でも調べてみることにした。

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 毎年4月から7月までの4か月間は、月曜日から土曜日まで大学に出るのでとても忙しい。特に今年は自治会の役員もしているので、日曜日も会議があって休めない。平日は家を6時半に出る。土曜日だけは掃除などをするので7時半に出る。日曜日は自治会の集まりの前にスーパーで買い出しをし、パン焼き機で1週間分のパンを焼く。何とゆとりのない生活か、と思うのだが、実は、すごく暇なのである。

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 先日、300円ショップで500円(税抜き)の大き目の掛け時計を買った。3月に引っ越してきた大学の教員室(私の居室)に掛け時計が無くて不便だからである。腕時計は持っているし、パソコンでもスマホでも時刻を知ることはできるのだが、やはりアナログの針で時刻を知らせる時計があれば、「授業まであと1時間はあるな」とか「あと10分で学生が来るのでプロジェクタを準備しておこう」とか一瞬で活動モードが切り替えられる。それがないと、不安でしかたがないのである。ただし、まだ部屋に置いてはいない。満員電車で時計を運ぶのは辛いので、土曜日の授業の際に持って来よう。

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 10年ほど前になるが、私の還暦祝いとして、子供たちが電子ピアノを贈ってくれた。定年退職後に子供の頃習っていたピアノをもう一度弾いてみたい、と私がつぶやいたのがきっかけである。ヘッドホーンを使えば外部に音を出すことなく練習ができる。喜んで古い楽譜を取り出し、練習を始めた。しかし、思うように指が動かない。だんだんやる気をなくしてしまった。もう一つ、デモ演奏という嬉しい機能がついている。有名な曲が60曲も聴けるので、しばらく繰り返し聴いて楽しんだ。それもいつの間にか飽きてしまった。という訳で、10年近く(子供たちには申し訳ないと思いつつ)電子ピアノにはカバーがかけられたままになっていた。

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 40年以上毎日届けられていた新聞を、思い切って3月末で解約した。取っていたのは日経新聞と読売新聞である。両方の朝刊夕刊で月額9000円近く支払っていた。止めた理由はいくつかある。まず、忙しい朝に2誌を読むために4時前に起きなければならなかった。それでも、大半の記事はタイトルを見るだけで終わってしまった。また、多くの記事は前日にネットやテレビで報道されているものより古い内容だった。さらに、夕刊は殆ど読まずに終わっていた。何より、一人暮らしには高額過ぎた。新聞紙とチラシの量も半端ではなく、毎月リサイクルに出してトイレットペーパーを2,3個貰っていたが、それも使いきれずに棚の上にあふれかえっている。

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 かつて広島県に住んでいた時、私の実家のある茨城県が東北地方であると思っている人が多くて驚いた。中国地方から見れば、遠隔地である茨城県は東北地方とくっつき、飲み込まれているように見えるのだろうとその時は納得してしまった。神奈川在住の仕事関係者と茨城県について話した時、水戸よりも日立の方が東京に近いと思っていた、と聞かされてびっくりしたこともある。自分との関係の強いものは近くに感じ、そうでないものは遠くに感じるようである。

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 最近の小学校の授業は私の時代(60年前)とはずいぶん変わったのだろうか。ダンスや英語の授業がある、くらいの知識しかないが、そろそろ孫が小学生になる時期に差し掛かり、気になってきた。私は茨城県の県北の公立の小学校を出ている。当時の授業は「読み書きそろばん」つまり、国語と算数の訓練が中心だったようには思うが、理科の自由研究や社会見学なども盛んにおこなわれていたし、学級の問題を話し合うこともよくあった。

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 自分が好きな曲は何と聞かれたら、すぐに何曲か挙げることができる。それは、日を追って変わっていく。必ずしもその時に流行っていた歌とは限らない。多分、そのときの気分や季節などで決まるのだろう。同じように、好きな女性の顔というのもすぐ思い浮かべることができる。(ちなみに、私は男の人の顔にはあまり興味がない。)それがなぜか、NHKの朝ドラのヒロインばかりである。

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 将棋の最年少プロの藤井聡太六段が、対局数、勝数、勝率、連勝の記録を独占したとのニュースが新聞の一面を飾った。まだ15歳である。この人の頭の中は一体どうなっているのか、これからどこまで伸びるのか、と驚きつつ期待が膨らむ。人間の知的能力は十代から二十代にかけてピークに達するのではないか。大学時代には、同級生の中に「この人の頭の中一体どうなっているのか」と思うような人が結構いた。数学の分野のノーベル賞であるフィールズ賞の受賞条件が40歳以下というのも頷ける気がする。凡人の自分を振り返ってもそう思う。

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 ここしばらく大きな出費が続いたので、節約をすることにした。まず食べるものである。野菜の高騰に対処すべく、もやしとキノコ類を多く食すことになった。勿論、野菜全般で捨てる部分は殆ど無くした。外食はせず、してもマックの100円のバーガーと100円のコーヒーだけである。着るものは、コートは昨年までのものを我慢して着て、その他もショップを眺めるだけでおなか一杯にして買わずに済ませた。

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 大学で「情報倫理と技術者倫理」という講義を担当している。元々、2人の先生が担当していたものを4年前に引き受けたものである。当初、「情報倫理」の部分は企業で行っていたセキュリティ研修の延長で、「技術者倫理」の部分は技術者としてやってはならないこと、例えばデータの改ざんや不具合の隠蔽、知的所有権の侵害などを「やってはいけません」と教えればよいと考えた。

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 毎年、年末から年始の2か月間は卒業研究の仕上げの時期であり、卒業を控えた学生も指導する私も大忙しとなる。毎年必ず出るのが、学生のパソコンのトラブルである。「アプリが開けない」「ファイルが壊れた」「ツールの処理が遅すぎて使えない」「ネットがつながらない」などなど。何とか、だましだまし使いながら研究を進めて終了までこぎつけることもあるし、大学で(そういった時のために用意してある)パソコンを短期に借りてしのぐこともある。

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 60歳になる直前に取ったパスポートの期限切れまで4か月弱となったので、次の10年間のパスポートを取った。10年間のうちに本籍の変更はなく転居もしていないので戸籍抄本は不要である。写真は近所のスーパーの入り口に設置してある証明写真撮影ボックスで撮ったが、顔の位置まできちんと調整してくれた。近所にパスポートセンターができたので、遠方まで申請や受け取りに行く必要もなくなった。10年前と比べてずいぶん楽になったものだ。これが70歳代の分である。さらに80歳代、90歳代とあと2回は10年のパスポートを取るぞ、と心に決めた。

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 今年の1月下旬、大学での私の研究室の学生7人が卒業研究発表を行った。卒業研究はプレゼンテーションとA4サイズ2枚の梗概(短い論文)の提出で評価される。プレゼンテーションは、パワーポイントの資料を使って7分間で行う。その後2分間の質疑応答がある。残る1分で次の発表者の準備を完了させなければならない。短い時間で最高のパフォーマンスを出すためには、トラブルを極力避けなければならない。

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 この2,3年、NHKのいわゆる朝ドラを観るようになった。明治から大正、昭和にかけての世相が良く分かって面白いのだが、一つ気になることがある。主人公やその周辺の人たちの子供が少なすぎはしないだろうか。子供たち自身が主人公であるのを除けば、1人かせいぜい2人である。2年前に97歳で亡くなった私の父のきょうだいは10人以上である。

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 1月22日、関東は大雪に見舞われた。雪の予報は前の週から出されており、通勤、とくに帰宅時に大きな混乱があるだろうことも予測できていた。そして予測通り大混乱になった。大雪だけではない。台風でもかなり前から予報が出て、様々なリスクが予測され、報じられる。でも、それによって被害が軽減されたという印象は薄い。

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 朝3時半に目覚ましが鳴り、4時前に起きるという生活を続けているが、休日だけは目覚まし時計を止めている。そんな休日の朝、寝床からぼんやりと古い本棚を眺めていた。ぎっしりと並ぶ飴色の本。よく見ると飴色の函入りである。「解析概論」「位相幾何学」「連続群論」「確率論」「ブルバキ数学原論」シリーズ、等々、すべて数学の本である。その他にも包装紙でカバーをした本が何冊もある。合わせると数十冊になるだろう。

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 今年の年賀状には、殆ど全部の相手に対して次の言葉を添えた。「現在の職場である東京電機大学もあと1年で定年となります。70代をどう過ごそうか思案中です。」この言葉の中には悲哀の気持ちや寂しさは無い。むしろ、次への一歩を踏み出す前向きな気持ちが込められている。1年後に迎える定年は私にとって3回目である。最初は60歳の定年、2回目は再雇用されてからの65歳の定年、そして大学の70歳の定年ということになる。

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 お正月の風物詩と言えば福袋(に群がる女性たちの姿)である。私自身はもう何年も福袋には手を出さないようにしている。洋服関連に限れば10年以上になるだろう。理由は、確かに安く良いものが沢山入っているが、大半は着ないで終わるからである。捨てるのがもったいないので保管してあるが、10年前に着られなかった派手な服がこれから着られるはずもない。収納場所はもう無い。思い切った断捨離の日を待つばかりである。

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 1年中で最も昼間の時間の短い時期である。5時半に家を出るのだが、外は真っ暗闇である。一人暮らしなので、家中の電灯を消して出ることになる。リビングから廊下を通って玄関まで暗闇の中を歩き、真っ暗な玄関で靴を履く。途中でぶつかることは無いし、事前に靴を定位置に置いてあるのでさっと履ける。一年中同じ時刻に家を出るのであるから、家の外も中も明るい夏もあればほんのり明るい春もある。

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 私事になるが、今年は自身の健康に問題のある年だった。6月に腸閉塞で倒れ、自分で救急車を呼んで病院に担ぎ込んでもらい、開腹手術をして治癒することができた。しかし、退院後の無理な仕事が祟って腰を痛めて1か月半も杖にすがる生活を続け、普通に歩ける(急ぎ足もできる)ようになるのに3か月もかかってしまった。何とか健康を取り戻し、今年も終わろうとするときになって、ダメ出しの手術をするはめに陥った。

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 かつて勤めていた会社の関係者から突然メールが入った。社内で40年以上前の製品の開発の歴史を展示するとのことである。それには私自身も関係していた。関係者の名前を入れたいので、私の役割をどう書いたらいいだろうかとの問い合わせだった。さてどう答えたらいいものだろうか、と一瞬迷った。なぜなら、やっていた作業自体はうっすら覚えているが、役割は何だったか、と改めて問われると、現在残っている記憶からは答が出て来ないのである。

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 65歳まで創業100年を超える大手の企業に勤めていた。私の所属していた部門は歴史が浅かったので比較的自由に仕事の仕方を変えることができたが、大きな仕組みは伝統にのっとったものとなり、それに染まることが組織の一員であることの証であるような雰囲気はあった。男性の場合は、地位が上がるとまずは先輩、上司の振る舞いを真似することでマネジメントやリーダーシップを身に着ける傾向にあった。

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 前回に引き続き、大学で私が担当しているゼミの話題である。ここでは、身近な問題を取り上げて、その問題の本質を捉えたうえで解決策を見出すということを個人ワークで行っているのだが、面白いことに気づいた。「高齢者の交通事故を減らす」と「SNSでのデマの拡散を防ぐ」の各々の本質的な問題がかなり似通っているのである。

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 大学で私が担当しているゼミでは、身近な問題を取り上げて、その問題の本質を捉えたうえで解決策を見出すということを個人ワークで行っている。取り上げる問題は身近なものばかりである。「高齢者の交通事故を減らす」「空き家を活用する」「SNSでのデマの拡散を防ぐ」「障害者にも健常者にも使いやすい階段を作る」等々はほんの一例にすぎない。問題解決の手段としては、ロシアのアルトシュラーが作り上げたTRIZという創造性理論の中の、矛盾マトリクスと発明の原理を使っている。

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 毎日、片道3時間かけて通勤している。朝5時半頃に家を出るが、前半の都心に向かう列車では座れないことが多い。一時、足を痛めていたときにグリーン車を利用したが、それですら、私の乗る駅の二つ先の駅では満席になり、立っている人も見受けられた。その電車は東京駅に7時頃に着く。そんな早くに始まる会社など殆どないだろう。ということは、私のように、そこからさらに電車を乗り継いで行く人が多いと言うことである。

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 仕事でもプライベートでもスマートフォンは絶対に欠かせないアイテムになっている。長距離通勤なので、ネット検索、学生のレポートチェック、大学や技術士事務所宛のメールチェックなどがこなせるのは有難い。私は5年近く前に購入したiPhone 5を使い続けてきた。古い機種ではあるが、現在の使い方をする限りでは全く問題なく働いている。だから、周りが勧めても上位機種に変えるつもりはなかった。

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 日本の労働生産性が低いことは広く知られた事実となっている。特にIT(情報技術)業界の生産性は欧米諸国と比較してかなり劣っていることも、数年前から言われていた。これは、40数年IT業界で働いていて、情報システム開発の生産性向上の仕組みづくりを主たる仕事にしていた私にとっては心苦しい事実である。しかし、決して信じられないことではない。むしろなぜ早く気づいて手が打てなかったか、と悔しく思うばかりである。

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 今年のノーベル文学賞がカズオ・イシグロに授与されるというニュースを見たとき、やはり取るべき人が取ったな、と思った。実を言うと他の作家の名前を殆ど知らないので、自分の勘が当たったというほどのものではない。でも近々取るのではないかと密かに期待はしていた。カズオ・イシグロとの出会いは2010年に公開された映画「わたしを離さないで」のTIMEでの紹介記事だった。

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 組織の中で出世する人、権力を得ていく人は、まず間違いなく上昇志向が強いと思う。それは、ライバルを押しのける、自分の意見を周りに押し付けるなどの言動となって、周囲からそれと知られるようになる。ただし、逆は必ずしも真ではなく、上昇志向が強ければ必ず出世するわけではない。女性の場合、特に組織内で上がっていくには環境条件が厳しいので、上昇志向ばかりが目立つ気の毒なケースがよく見られる。

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 一番好きな季節は何かと問われたら、私なら迷わず春と答える。秋は夏や冬よりは好きだが春には敵わない。秋は日に日に日が短くなるからである。これが終末を感じさせる。一年を通して毎朝3時45分に起床する。まず血圧を測り、そして朝食を取る。出かけられる準備を整える頃に朝刊が届く。日経新聞と読売新聞を読むと5時半になる。通勤時間は片道3時間なので、8時半に大学に着く。9月になれば、新聞を取りに行く時点で真っ暗である。もちろん帰宅時も真っ暗である。庭の様子が見られるのは週末だけとなる。これが寂しさを感じさせる。

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 私の経験を他の人にあげたり貸したりすることはできない。経験は、「誰々が」という主体と、学ぶ、食べる、着るなど動詞で表現される。つまり、やってみなければ経験にならないし、その結果は、やった人ごとに違う。さらに、「無駄な経験はない」と言われるように経験した結果のみが価値として認められるわけではない。経験することによって主体自身が変化するのである。

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 2017年9月12日の読売新聞朝刊の1面に「人生100年時代構想会議」(議長・安倍首相)の初会合が首相官邸で開かれたという記事があった。人生100年時代と言えば、『ライフ・シフト−100年時代の人生戦略』(リンダ・クラットン、アンドリュー・スコット著)が土台になっているはずである。確かに、この会議にリンダ・クラットン氏が出席していた。というわけで、昨年末に読んだこの本を再度読み返してみた。

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 「無駄な経験は無い」とよく言われるが、私自身もこれを固く信じている。事実、子育ての経験は仕事のキャリアに間接的ではあっても役立っている。例えば、時間の使い方、部下や同僚との接し方、物事の優先順位の付け方、などなど、子育てから得たものは多い。旅行の思い出は、ふとした時に蘇って心を和ませる。長距離通勤でさえ(体を壊しては元も子もないが)頭と体の鍛錬になる。失敗した経験が役立つことは昔から広く言われており、失敗から学ぶことに関する書籍も多く出ている。

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 事例研究というものは大学の講義、社会人のためのセミナーなどで多く行われている。私も複数の科目で、様々な事例を紹介し、それについて考えさせる講義を行っている。事例には大きく分けて「成功事例」と「失敗事例」がある。前者は、難しい問題を解決したり、収益の悪い事業の収益を改善したり、ベンチャー企業が世界に名だたる大企業に成長したり、というものである。後者はその反対で、大きな製品事故を起こしてブランドイメージが失墜してしまったり、経営者が不正を起こして会社が傾いてしまったり、といったものである。

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 25年以上前になるが、会社の管理職研修の一環で、「七つの習慣」のセミナーを受けた。当時、この書籍はベストセラーになっており、同時にセミナーも盛んにおこなわれていたようである。そこで一番印象に残ったのが(というか他は殆ど覚えていないのだが)、ガラスの金魚鉢と石と砂を使った実験だった。空の金魚鉢に石と砂をびっしり詰めるにはどうするか、という問題である。先に砂を入れてしまうと石は余ってしまい、金魚鉢の中は隙間だらけになる。

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 遂に、60代最後の歳になってしまった。新しく作った遠近両用眼鏡を受け取りに行き、磨き上げられた鏡を覗いていつものことながら驚いた。このお婆さん一体誰?気持ちの上では40代半ばである。だから、鏡やガラスに映った自分の姿に毎回驚く。なぜ30代以下でないかというと、子供たちが30代後半だからである。妄想でも子供より若いとは思い至らない。しかし、50代では60代に近すぎて面白くない。

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 日本の2015年の国民一人当たりのGDPが世界で27位というデータを様々な所で眼にしてきた。生産性であれば、労働者一人当たりの生産高を言うべきではないか、と思ったら、こちらのデータはもっと悪かった。国連が出した労働人口比率に基づいて出した、労働者一人当たりのGDPの順位はさらに低く、先進国の中ではイタリアやスペインを下回る、とのことである。(新・所得倍増論:東洋経済新報社より)

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 腸閉塞で入院し、退院後すぐに大学の講義と学生指導を無理して続けたことがたたって歩けなくなった。貴重な1か月の夏休みは病院に行くことと家で読書することの繰り返しとなった。というわけで、亡くなった夫の残したものを含め、色々な本を読み漁っている。しかし、手術後の貧血がまだ治っておらず、だるくて横になることも多いので難しい本を根詰めて読むことができない。そんなとき、近所の本屋で面白い本を見つけた。

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 腸閉塞を患って入院し、手術を無事終えて退院してから1か月が経とうとしている。手術後の経過は順調なのだが、まだ解決されていない大きな問題が残った。左脚が痛くて歩けない、という症状である。先日、整形外科で診察を受けたが、骨には問題がなく、再度総合病院で診察を受けることになっている。原因不明の段階ということである。

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 1か月前に腸閉塞を起こして入院した。2日間の気を失いそうなほどの痛みを経て開腹手術をし、地獄の苦しみから逃れることができた。幸い手術後の経過は良く、11日間で退院した。その間、痛みに耐えながら、ベッドの上でスマホを使って大学の講義の休講と補講の手配をし、ゼミの学生に連絡を取った。11日間の穴は夏休み前に埋めなければならない。もう1日たりとも休めない状況での退院だった。

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 思いもよらぬ病気で10日を超える入院をしてしまった。その間手術を行ったのだが、術後の経過は大変よく、退院時には手術をしたことを忘れるくらい痛みも無く快適な状態だった。しかし、問題は別の所にあった。左足がしびれて力が入らず、うまく立てない、歩けないという状況に陥ってしまったのである。これには焦った。片道3時間の通勤などとてもできそうにない。すでに大学の講義は2週間分休講にしてしまっている。どうやって取り戻せばよいのだ。

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 ひどい頭痛で苦しんで、頭痛薬を飲んでそれがすっと消えたとき、「ああ、生きていてよかった」と感激することはないだろうか。後で考えると大げさなのだが、問題が解決するときというのはこのように嬉しいものである。50年近く前、父親の勤める会社でアルバイトをしたことがある。試作段階の機械の機能チェックのような仕事で、入力データを与えてその出力結果を記録する、といったものだったと記憶している。

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 初対面の人とお互いに自己紹介をしあうとき、相手の仕事について尋ねることが多い。殆どの場合、求める答えが得られなくてがっかりする。これは若い人に限らず中堅クラス以上の人を相手にしたときにも見られる傾向である。例えば、「どの様なお仕事をされていますか?」に対して、「○○に勤めています」と答える人に対しては、「その会社では全員が同じ仕事をしているのか?」と突っ込みたくなる。同様な答えは「横浜の会社に勤めています」「△△の駅の近くのビルにある会社に通っています」などがあるが、「だからそこで何をしているんだよ」と心の中で苛立ってしまう。

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 毎日、神奈川県から東京を経て千葉県に通勤している。使っている路線は、東海道線、都営浅草線、京成線、北総線である。長時間なのでできるだけ窓際に座り、車窓を眺めて過ごす。神奈川県は山が多い。東京に入ると高層ビルに囲まれる。間から東京タワーがちらりと見える。京成線に入ると、色々な形や色の屋根がぎっしりと並ぶ。マンションの色も青、茶色、白、グレーなど雑多である。統一感は全くない。千葉県に入れば全く山が無くなる。時々山のように見えるのは雲か比較的高い建物の屋根である。

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 最近珍しくない発言に「高齢者が優遇され過ぎている」というものがある。数年前には「世の中を悪くしたのは団塊の世代だ」と言われていたが、それよりは言い方が柔らかくなっているけれど高齢者が批判されていることに変わりはない。日経ビジネス独自アンケート「世代間の公平性に関する意識調査」が2017年3月30日〜4月7日にかけて行われ、その結果が5月26日の日経ビジネスオンラインで報告されている。それによれば、予想通り、年金や医療、介護保険制度で「高齢者を優遇しすぎ」と考えている人が70歳以上ですら半数以上いるそうだ。

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 大学の私のゼミのテーマのひとつに、ツイッターやフェイスブックなどのSNSのデータを一定期間集めて、ビッグデータとして分析するというものがある。データの収集にはmentionという海外のサービスをフリーの期間(2週間)だけ使う。このサービスでは、単語を複数指定して、それらの単語がANDやOR条件で含まれる文章を収集してくれる。ニュース性の高い話題の単語を選ぶと、1週間で数万件のデータが集まる。今年のゼミ生にこのサービスを使ってデータ収集をさせる時期が来た。これまでは、私が口頭でやり方を教えながらデータ収集をさせていたが、今年は自分でできるようにマニュアルを作ることにした。フリーのサービスは予告なく仕様が変わったり、データのコードがJISからUnicodeに変わったり、日本語入力機能がおかしくなったりする。

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 2017年のゴールデンウイークは、中学生のプロ棋士、藤井聡太さんの話題で持ちきりだった。将棋に限らず天才の代名詞にもなりそうである。子供を持つ親たちは「どのように育ったのだろう」と気になることだろう。彼が幼い頃に遊んでいたかなり高額な玩具が品切れ状態だということである。同じ玩具で遊ばせたい、と思うのも当然かもしれない。しかし、当たり前の話だが、天才が夢中で遊んだ玩具で遊ばせれば天才になるわけではない。そもそも、天才だから夢中で遊んだのであり、夢中で遊んだから天才になったわけではない。天才は育つのではなく、生まれるのだ。

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 昨夜から今日の午前中にかけて暴風雨の恐れあり、というニュースを見て、今朝は一本早いバスに乗った。いつもは軽い折りたたみ傘しか使わないのにがっちりした大きな傘を差し、風雨の中を飛び出したのである。幸い電車に遅れはなく、いつもの時間通りに大学に着けた。しかし、吹き曝しのホームで立っていたらびっしょり濡れるし、雨はあっという間に上がってしまって傘を持て余すし、「もう少し遅く出れば楽に行けたかもしれない」とちょっと残念な思いをした。しかし、暴風雨で電車が遅れる、最悪の場合止まることがあった場合、授業に穴を空けることになる。

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 私がいつも使っている近所のバス停の脇の公園に、3本の太くて高い木がある。冬には葉が全く無いが、初夏には緑に覆われる。そして大量の白い花をつけ、それが散る頃にはバス停は真っ白になる。近所の人たちがボランティアで掃除をしてくれているが、次の日には白い花びらに覆われてしまう。私は長い間、この木の名前を「エンジュ」だと思っていた。その木の一本が切られていた。切り株を見ると、中央に空洞ができている。自治会の回覧で事情が分かった。「バス停の横のアカシアが腐って倒れる恐れがあるために切った」とのことである。驚いた。あの木はアカシアだったのか。何で私はエンジュだと思っていたのだろうか。

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 2017年4月11日の日本経済新聞の朝刊の一面に、次の記事が掲載されていた。AIと世界 今そこにある未来 ⇒1 仕事が消える日」である。インドITサービス大手のインフォシスでAIの導入により8000人分以上の仕事が消えた、という事例を挙げ、AIで職を失う人が増える可能性を述べている。これは情報化社会について学ぶ授業で使えそうだ、と切り抜いた。新聞をめくっていくと、次の記事が目に飛び込んできた。

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 多くの人たちは、自分のしたことを他人に認めて欲しい、褒めて欲しいと思っているだろう。私もそうである。しかし、なかなか思い通りにはいかない。評価するのは自分ではなく相手(他人)だからである。自分は他人に認められたいのに認められていない、と思う時、どういう振る舞いをするだろうか。これまで色々な人たちと付き合ってきた結果、大きく三つに分かれるのではないかと思うようになった。一つは、「自分が認められないのはおかしい。世の中(評価者)が間違っている。」と声を上げる人達である。時として、認められている他人を貶める発言をする人すらいる。

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 会社を65歳で定年退職して3年半になる。今も大学教員として現役で働いているが、会社との距離はかなり離れている。それでも、様々な会合で、既にリタイアしたかつての上司、まだ現役のかつての同僚や友人たち(いずれもかなり年下)と会う機会はある。そのような時の話題で、ある気になるパターンに気づいた。まず、現役の元同僚や友人との会話である。彼らはほぼ上級の管理職になっている。そこでの話題は、自分や話題に上った他人が「どこの組織か」「どのような地位か」が中心である。仕事の内容は殆ど語られない。たまに出てくるのは、上司や顧客との関係の難しさ(半分は愚痴)である。

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 組織の経営改革、業務改革でも、個人の受験や転職でも、何かに挑戦するときにはまず理想の姿(○○になりたい)を想定する。その後、現状とのギャップを明らかにし、そのギャップを埋めるための努力を重ねることになる。現状と理想の姿のギャップが大きければ大きいほど理想の実現には困難を伴うが、実現したときの喜びはそれに比例して大きくなる。情報システムの開発の際も、まずシステムのあるべき姿を描き、現状を分析して把握し、両者のギャップを埋めるようにシステムを設計する、というのが定番である。それにより、何をすべきかが明確になり、最終的な成果物が目的と合致しているかを正しく評価することもできるからである。

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 「子供はいいなあ、何の悩みもなく遊んでいられて」などと思っている人はいないだろうか。もしもそのように感じることがあったら思い起こして欲しい。本当に子供のころは悩みもなく楽しかっただろうか。少なくとも私はそうは思わない。 私の家は典型的な昭和のサラリーマン家庭だった。母は専業主婦、三人兄弟。金持ちでもなく貧乏でもなく、ごく普通の中流家庭である。それでも、子供時代の思い出は楽しかったことより不安におののいていたことの方が多い。

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 今年(2017年)になって「サーキュラー・エコノミー デジタル時代の成長戦略」(日経新聞出版社)という本を2回読んだ。原題がWaste to Wealth The Circular Economy Advantage であり、帯にもある通り、「無駄」を「富」に変える戦略をテーマにしている。内容は充実しているが、とにかく読みにくい。例に挙がっている企業が聞いたことのない海外のものばかりで想像力が働かないことと、専門用語が多いことが理由だろう。

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 テレビで奇妙な映像を観た。幼稚園児が運動会の選手宣誓として選挙の応援演説みたいな内容の言葉を発している。明らかに意味は分かっていない。先生に教え込まれたままを言っているのだと思う。怖いというより滑稽に見えた。思い出したのは、1年前(2016年3月)のTayの事件である。当時のネット上のニュースでは次のように書かれている。『Microsoftが会話理解研究のために公開した人工知能botの「Tay」が、Twitterでのデビュー数時間後に停止した。ユーザに教えこまれた人種差別などの問題のある単語をツイートするようになったためとみられる。』

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 2015年はシンギュラリティのブームから始まった。30年後の2045年には人工知能が全世界の人間の知能全体を超え、あとはどうなるか分からない、といった主張が複数雑誌の1月号の特集として組まれたのである。この年は書籍も多く出版された。面白おかしく書かれたものも多かったが、深刻な脅威として主張された書籍も多かった。内容的には、「仕事が奪われる」と言った現実的なものから、「AIに人類が支配される」といったSF的なものまで様々だった。

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 日経新聞と読売新聞の朝刊と夕刊を定期購読している。月の支払いは8,500円を超えている。子供たちが独立し、夫が亡くなって一人暮らしになってもそのままである。同じくらいの額をネット+電話に費やし、さらにほぼ同額を携帯電話(スマートフォン)にも費やしている。雑誌は日経ビジネス(週刊)とハーバードビジネスレビュー(月刊)を定期購読している。一人の人間の情報収集のための費用としてはばかにならない。

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 ビッグデータ時代と言われるように、身の回りには大量のデータが存在する。ツイッターなどのSNSでのつぶやき、道路や施設に設置された防犯カメラの映像、SUICAの利用履歴、GPSの位置情報、様々なセンサーのデータ。これらは、(素人でも)簡単に集めることができる。実際、学生がmentionというサービス(2週間無償)を使って、適当なキーワードを含むSNSのデータを集めたところ、10日ほどで2万件から3万件のデータが得られた。これらはExcelで読むことができる。GoogleのBigQueryというサービスを使えば(このくらいのデータであれば無償で)分類や絞り込みなどの分析も可能である。

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 毎年1月半ばから3月半ばまでの大学の講義のない時期は、次の年度の講義のための仕込みをする。旬な技術的トピックスについての書籍、それも最新の出版物を買いあさり、読みまくって、情報システム関連の授業の資料を作成するのである。一昨年はAIを大きく取り上げ、昨年はビッグデータ、ブロックチェーンなどを加えた。今年もこれらの3点は外せないので、自分の中にあるとらえ方や理解度のバージョンアップを行っている。そこで気づいたのが、ブロックチェーンについての情報がこの一年でかなり変わってきているということである。

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 年金受給者で、大学の給与所得者で、かつ個人事業主でもある私は、毎年確定申告をしている。税務署に出向くのは嫌なのでe-Taxを使う。概ね、1月下旬には源泉徴収票などすべての書類が揃うので、すぐに申告してしまう。青色申告の書類作成には市販のソフトを使い、確定申告の書類作成にはe-Taxソフトを使っている。もう4回目になるので、平成28年分の申告は問題なく終了するはずだった。

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 大学の卒業研究の発表会が無事終わった。内容についてはここでは述べないが、全員が力を出し切ったことだけは確かである。実は、夏の中間発表会では、プロジェクターとPCの接続トラブルがあり、プレゼンの時間が押してしまった、ということがあったので、今回は十分に対策を取った。
 私の研究室で発表する学生は4名である。発表順は連続しているので、最終のパワーポイント資料は全員分私のPC(Surface Pro3)に入れておき、最初にプロジェクターとつないだら途中のつなぎ替えが無いようにした。

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 三年前まで勤務先の企業でコンサルタント育成研修を実施していた。技術(主としてIT)のコンサルタント育成である。初期の頃(10年ほど前)は、「経営」や「業務」のコンサルティングよりもITを含む「技術」のコンサルタントになる方が楽だと思っていた。なぜなら、話のきっかけになる技術や製品があるからである。少々口下手でも自社の開発した技術や製品について情熱を込めて説明すれば相手は(ある程度は)聞いてくれる。後は、「相手の立場に立って考える」「相手の話をよく聴く」「相手に分かる言葉で話す」などのコンサルティングマインドをロールプレイなどで体感させる研修をすればよかった。

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 年に2回の学生研究発表(ポスターセッション)の日、私は、研究室の学生(10名前後)の全てのポスターを掲示場所の番号順に研究室の机に並べる。学生は指定の時間が来るとそれを一人ずつ受け取って会場に向かう。私はそれを送り出して、別の学生たちの卒業論文発表の指導に入る。これは大学の規則に従っているわけではない。教員のすることは発表資料作成の指導までで、ポスターを印刷し、保管し、掲示するのは学生の仕事である。

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 2年間年賀状を出さなかった。一昨年に夫がガンで急死し、昨年は父が97歳で亡くなったからである。重ねて、17歳になろうとしていた愛犬(柴犬、♂)も夫が亡くなったと同じ部屋で後を追った。立て続けの死に出会って、命というのはろうそくの炎のようなものだと感じた。死はろうそくの炎がふっと消えるのと同じで、消えてしまえば何も残らない。
肺ガンと診断されて3週間目に自宅で息を引き取った夫も、病院で天寿を全うした父も、いずれの死も羨ましいとは思わない。どのような死に方であっても最期はみじめである。しかし、それではどのような死に方がよいのか、と聞かれても答えられない。ただ、長生きをしてよい死に方を探したいと強く感じている。

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 10年日記というものを40代半ばから現在(60代の終わり近く)まで25年近くつけている。たまたま、最初の頃の12月末の日記を読んで驚いた。年末ぎりぎりまで遠方への出張が頻繁にあり、合間を縫って忘年会に出ている。週末も出勤して事務処理をしている。しかも、始終、頭痛がする、吐き気がする、と書いてある。それでも休まず出勤している。明らかに二日酔いなので意地でも休めないのだろう。当時は子供が中学生と小学生だったはずである。夕食など作っている暇があったのだろうか。一体家族はどうしていたのだろうか。もちろんお節料理など作っている形跡はない。大掃除らしきこともしている様には見えない。40代半ばの私の生活はこんなものだったのか。

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 年に一度の家族旅行の行先が決まった。そこには以前から泊まってみたいと思っていたホテルがある。これは千載一遇のチャンスと提案してみた。しかし、家族はいい顔をしない。「ネットのコメントを見てごらん」と言う。読むうちに、やめた方がいいかな、と思い出した。自分ひとりであれば、「そんなに評判が悪いなら却って面白いじゃないか。泊まって確かめてみよう」という気持ちにもなるが、たまにしか会わない家族との旅行が残念なものになったら、と考えると二の足を踏んでしまう。結局諦めることにした。

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 「生意気な口をきくな。お前たちは言われたことだけやっていればいいんだ。」
 これは、30年近く前、顧客先の課長から投げつけられた言葉である。当時、私は中小規模のソフトウエアハウスのプログラム開発部門の課長だった。プロジェクト単位でのまとまった仕事を任されることは望むべくもなく、部下のプログラマを数人ずつ顧客先に派遣するという業務ばかりを抱えていた。そのうちの一つの進捗が思わしくなく、徹夜に次ぐ徹夜のデバッグ作業が続いており、派遣されていた部下が「耐えられない」と私に助けを求めてきたのである。そこで私が派遣先の課長に「仕事のやり方を見直してほしい」と掛け合いに行って言われたのが冒頭の言葉である。

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 来年早々にはアメリカにトランプ大統領が生まれる。トランプ氏がアメリカで支持された理由は様々なところで分析されている。中でも私は、「強いリーダーを求める」点に着目したい。
 強いリーダーは障害物をブルドーザーで排除し、富(つまりお金)をもたらしてくれる。だから何も考えずについていけば幸せになれる。どこかで経験したような気がする。田中角栄の時代である。列島改造論が発表されたのは私が社会に出た時期だった。そして今、田中角栄が密かにブームになっている。それだけではない。世界中で強いリーダーを求める風潮が広まっているように見える。

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 アメリカ大統領選挙で多くの人々の予想を裏切ってトランプ氏が勝利した。そのニュースの中に、ヒラリー・クリントン氏が負けたことを「ガラスの天井が破れなかった」あるいは「ガラスの天井は高すぎた」と表現する記事が見受けられた。私はその表現に違和感を覚える。そもそもガラスの天井など存在したのだろうか。

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 「電車の中で化粧をすることがなぜ非難されなければならないのか。だれにも迷惑をかけていないのに。」 最近は多くの人がこう思っているのではないか。私自身はそうとは言い切れない気持ちを持っている。この感情は「恥ずかしさ」に近い。でも私が化粧しているわけではないから,私が恥ずかしいはずはない。どういうことなのだろうか。

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  学生にとって最重要課題は単位を落とさないことである。だから、定期試験の対策として過去に出題された問題や教員の出題傾向を研究する。受験や定期試験にはかなり有効な手段らしい。ただ、そのような努力はその場限りのものであり、将来の役には立たない。もしも、問題の意味を理解しそれを解くという行為を重ねていった上で解決のパターンを(探すのではなく)作り出すというのであれば別である。内容は忘れてしまっても考え方は体に染み込んでいくはずである。

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 大学で多数の学生に対して講義をしていると思わぬ発見がある。先日も、百数十人を対象とした技術者倫理の講義において、人間の思考に二つの異なる方向性を持つ傾向があることに気づいた。



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 最近になってVUCAという言葉を知った。これは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という単語からできたもので、現代はこの4つの増大により先の見えない世の中になっているとされている。

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 2016年版の厚生労働白書によると、60歳以上を対象にした調査では65.9%が65歳を超えても仕事をしたいと答えたそうである。そろそろ70歳が近づいてきた私たちの年代でも、働き続けるということが当然という時代が来ているのである。

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 最近、大学の同窓会があり、団塊世代の男女が集まった。こういう席で(他人事のように)話題に出るのが「人工知能の発達によって人間の仕事が奪われるか?」というものである。なぜ他人事かというと、自分たちは既に一線を退いているし、子供世代もあと30年もすれば一線を退くだろうから関係ない、という気持ちがあるからである。しかし孫世代はどうだろうか。私は気になって仕方がない。

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 企業における女性の活用、女性の活性化の動きは周期的に起こっては消えているように思える。25年ほど前にも、「女性の感性を生かした商品づくり」「女性だけのチームで活性化」といった話題がマスコミを賑わし、一方で、産休を取る同僚の仕事を引き受けて仕事に追われる独身女性の悩み、なども聞こえてきた。現在とあまり変わらない。

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 8月に65歳で最後の会社を定年退職した。団塊の世代の多くの男性とは異なり、同じ会社に勤め続けたわけではない。40年余りの間に7、8か所の職場を経験した。退職金を貰ったのは2回だけである。最初に貰ったお金は社員寮からの引っ越し代で消えた。最後の退職金は、あまりに額が少ないので何度も計算しなおし、勤続年数が少ないからだ、と気づくまでに数年かかってしまった。(40年以上勤め続けた同年輩の男性と比較したのが大きな間違いだった)。

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 「曽野綾子さんの記事が話題になっていますね。」と言われて、かなり遅れてであるがネットで検索してみた。週刊現代の「何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ」という寄稿の中の、特 に「出産したらお辞めなさい」の部分が議論になっている。色々な方々の意見も読むことができて、話題になっていることの全体像は掴めたように思う。



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