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古希の就活


2018.12.09


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 我が家には、どう見ても役立たずで、普通の感覚であれば買い替えをすべきと思われる機器が2つある。ひとつは、時々叩かなければ電源が入らなくなるプラズマテレビである。最近は私の怒りにおびえたか、なぜか電源が入るようになっている。しかし、天候次第でほぼ全てのチャンネルの電波の受信ができなくなるアンテナとタイアップして、利用者(私)の満足度を著しく下げている。もう一つは、立ち上がって使えるようになるまでに1時間以上もかかるデスクトップパソコンである。使う頻度が低くなっているせいもあり、電源を入れるとwindows 10のバージョンアップでもしているのか、何度も何度も再起動を要求され、1時間以上かけてようやくネットにつながり使えるようになる。しかし、私はこれらをなぜか使っている。うまく動いたときなど「ありがとう」とお礼をいうほどである。

 ポンコツ・テレビの特長は「画面が大きい」ということである。同じサイズのテレビを買い替えるとなれば結構な出費となる。4人家族だった頃は、ビデオデッキとともにフル稼働していたテレビだが、一人暮らしの私には必要がない。そんなお金を出す余裕もない。テレビが見られなければ代替手段はある。だから、うまく電源が入ればテレビにお礼を言って2時間ドラマの再放送などを楽しむ。大画面は年寄りにはありがたい。

 何年か前にwindows 7からwindows 10に変えてからやっかいものになってしまったデスクトップパソコンだが、これにも特長がある。画面が大きいということである。ノートパソコンは大学のもの2台を除いても事務所用に2台持っているので十分仕事はできる。しかし、どうしても「字が小さすぎて読めない」現象は避けられない。さらにもう一つ、デスクトップパソコンには仕事で必要な重要なアプリが入っているのである。これを使わないと確定申告ができない。あと1年もたせて新しいソフトを別のパソコンに導入しよう、と考えているところである。とするとこのパソコンともお別れになるのか。

 本題に入ることにする。いよいよ大学も70歳の定年が近づき、私自身、次のための就活に励んでいる。〇〇コモンに登録したり、〇〇ディードからの求人情報を毎日眺めたりしているが、成果はない。古希を過ぎた人に求められているものが、過去の立派な肩書(大企業の役員など)、人脈(営業活動に役立つもの)、海外プロジェクトのマネジメント経験だと今になって気づいた。いずれも私にはない。かつての就活では将来性を売り込んでいたが、古希の人の将来性など誰が期待するだろうか。さびついた脳の働きや技術力を(無理だろうが)若い時の状態に戻したとしても、見向きもされない可能性がある。我が家のプラズマテレビを修理して買った時の状態に戻したとしても、4Kだ8Kだと騒いでいる時代には見向きもされないのと同じである。

 でも希望はある。私は文句を言いながらもプラズマテレビやいらいらさせるデスクトップパソコンを使っているではないか。お礼を言いながら。そう、使わざるを得ない理由が存在するからである。古希の就活は、売り込むのではなく必要としている人を探すことだ。あるいは「人の嫌がることをする人が金持ちになる」という母の教えに従ってみるか。



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