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差し上げますが盗られるのは嫌


2018.10.21


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 世の中には、自分で持っているだけでは価値がないけれど他人にとっては価値のあるものは沢山ある。自分には必要のない者を他の人に譲ることによって対価を得るのは、提供する側にとっても受け取る側にとってもメリットがあり、仲介する人に謝礼を渡すのをいとわないのは理に適っている。ここで売り手、買い手、仲介業者のwin-win-winの関係が築けているわけである。私も売れるものがあれば売りたいが、残念ながら誰も買ってくれそうにもないものばかりがクローゼットを占拠しており、衣類の回収日にゴミステーションに送られるのを待っている。

 自分で持っているだけでは(あまり)価値が無いけれど(喉から手が出るほどに)欲しがっている人がいる「価値あるもの」があった。それが「個人情報」である。これなら私でも持っている。ただ、着なくなったブランドもののワンピースと違うのは、個人情報が悪用される可能性があるということである。悪用された結果害を被るのは提供した人になる。従って、提供者に被害が及ばないように使われる保証が得られないうちは、個人情報はできるだけ隠しておきたい。

 10月17日付の日経新聞の朝刊で、ITや家電の見本市である「CEATECジャパン2018」での三菱UFJ銀行の展示内容の紹介記事を読んだ。それは『情報銀行』の実験だった。恥ずかしながら、それまで『情報銀行』構想なるものを知らなかった。Wikipediaによると、「情報銀行とは、行動履歴や購買履歴といったものを含む個人情報にひも付いたITデータを個人から預託され、他の事業者とのマッチングや匿名化したうえでの情報提供、一元管理する制度、あるいは事業者を指す。データを提供したり活用したことに関して得られた便益は、データを受領した他の事業者から直接的または間接的に個人情報を提供した本人に還元される」。とのことである。つまり、個人情報を銀行に預け、それを必要としている企業に提供することで運用してもらい、その対価から利息を払ってもらうということである。預ける個人情報の内容を自分で決められ、安全に管理してもらい、その上、運用した結果の利益まで還元してもらえるなんて、まさに願ったり叶ったりの仕組みではないか。

 個人情報、その他のモノ、何でもそうだが、それ単独では価値がないものであっても、知らない間に盗られるのは嫌である。でも、それを必要としていて、できれば産業の発展などで役立ててくれるのであれば、提供したいと思う。その対価にはあまりこだわらない。だって、自分で抱え込んでいても価値を生まないのだから。その意味では、『情報銀行』は、個人にも企業にも、仲介する銀行にとっても、要求を満たしてくれるwin-win-winの仕組みになるのではないか、と期待される。

 それにしても、ゴミステーションに送られる前のものを救うのは結構面倒である。夫が亡くなったとき、未使用の衣類を海外への支援物資として送ったのだが、結構面倒で、費用もかかった。スーパーのレジ袋は必ず断ることにしているのだが、なぜかビニール袋が溜まっていく。本当に必要な人だけにものが渡る仕組みを各方面で考えるべき時だと思う。



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