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失敗を楽しむ余裕


2018.11.11


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 毎年11月の初めに大学のまとまった休みがあるので、ひとり旅を楽しんでいる。殆ど1泊2日である。大人の休日倶楽部パスを使って運賃を3割引きにし、浮いたお金で温泉と朝食付きのビジネスホテルに泊まるのが定番になっている。安上りな旅である。去年は富山、高岡、金沢を回った。今年は仙台と松島に行くことだけ決めて、東京と松島海岸までの往復切符を買い、仙台のホテルを予約した。

 出発当日は好天に恵まれた。当初の予定では2日目に行くつもりだった松島に直行することにした。そこで遊覧船に乗れば素晴らしい景色が見られるはずである。仙台駅で新幹線を降り、在来線のホームに向かった。石巻行きに乗れば松島に行けるはずと勝手に思い込み(その時点で降りる駅名が「松島海岸」であることをすっかり忘れていた)、乗り込んだのだが、どうも様子がおかしい。塩釜という駅で途中下車してみようと思い、駅員さんに切符を見せたら「路線が違う」とのことだった。乗るべきだったのは仙石線で、私は間違えて仙石東北ラインに乗ってしまったようである。結局、仙石線の西塩釜駅まで15分ほど歩き、仙石線で本塩釜に行き、そこから遊覧船で松島に行った。途中で美味しい海鮮丼も食べられたし、適度にピクニックもできたし、それはそれで楽しい旅となった。

 さて仙台駅に戻り、ホテルまでスマホでルートを確認しながら歩こうとしたらスマホがつながらない。こんな都会で、しかも私の契約している〇モバ〇〇のショップが目の前にあるのに電波が届かないとはどういうことか。しかたなく駅前の地図を頭に入れて歩き始めた。自慢ではないがひどい方向音痴で、ひたすら反対方向に歩いていく癖があるのだが、何とかホテルに着くことができた。幸いホテル内では無料のWi-Fiが使えて、次の日の予定を立てるのにスマホを十分活用できた。しかし、一歩ホテルを出たらただのカメラである。

 2日目は予定外で女川に足を延ばすことにした。そこでお土産の買い物をしようと思ったのである。石巻に行き、そこから石巻線で女川に行くのだが、今度は間違えようがない。石巻で少し時間があったので、ホームのベンチでスマホの「設定」をあれこれいじっていたら突然つながった。理由は全く分からない。女川ではお土産になるものと人気のパンを買って、その一部をお昼ご飯にして駅のベンチで食べた。仙台に戻ったら午後1時になっていた。仙台では仙台城跡まで歩いて、ちょっとした遠足気分も味わった。失敗は他にも数多くあったが、もう書かない。失敗を楽しめることが余裕である。それが却って思い出になる。

 失敗と言えばもうひとつあった。最近、いつものようにパン焼き機で食パンを焼いているのに、全く膨らまずにモチとケーキの中間みたいなものになってしまうことが2度続いた。捨ててしまうのももったいないので食べていたが、以前よりも歯にやさしい、つまりかみ切りやすいことに気づいた。これはこれでいいのかも、と一瞬思ったが、原因を究明しなければ収まらない。調べたところ、ドライイーストが古くなっていたせいと思われた。そこで、残りのドライイーストを全部入れて(通常の1.5倍?)焼いてみたら膨らんだ。原因が分かったところで、失敗作も捨てがたいという気持ちはまだ消えていない。どうしよう。



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