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おひとり様のススメ


2020.07.12


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 何を怖がるべきか、何は怖がらなくともよいか、毎日の自分の行動が問われている。とは言え、誰もいない原っぱの一本道を散歩しているときに新型コロナウィルスの感染を心配したり、青空が広がっているときに集中豪雨や河川の氾濫を心配することはなかなか難しい。やはり過去の経験を思い起こすことが必要である。私は、小学校3年生まで海抜ゼロメートル地帯に住んでいて台風が来るたびに恐ろしい思いをしていたので、雨戸に打ち付ける雨音を聞いただけで眠れなくなる。そのため、現在は高台に住んでいるにもかかわらず豪雨、河川の氾濫のニュースには釘付けになる。

 新型コロナウィルスに関しては、日本で問題視され始めた2月の時点の話題を思い出す。当時のキーワードは「クルーズ船」「バスツアー」「屋形船」だった。バスツアー以外は自分とは無縁だったが、これらに共通する2点はしっかり頭に刻み付けられた。『集団行動』と『飲食』である。

 集団行動については、よくニュース映像で見かける朝の品川駅での群衆などは全く恐れていない。私自身、勤務先が品川だった時期が数年あり、群衆の一員だったが、とにかく周りの人たちの足が速く、わき目もふらずに歩くしかない状況だった。電車の中も、大半の人はじっとスマホに目を落としたままか、居眠りしていた。どうみても、飛沫が飛んでくる状況とは思えない。怖いのは、昼間の外回りのサラリーマンと思われる人たちの車内でのおしゃべりである。上司の目が無いので気が緩むのか、声も大きくなる。これは情報セキュリティの面でも止めた方が良い。同僚と一緒の昼食も多分同じである。

 飲食については恐怖が先に立つ。特に、ビュッフェ形式の食事については、不特定多数がおしゃべりしながら食事をとりに行く光景が目に浮かび、多分二度と行くことは無いだろうと思えるほどである。ビジネスホテルの朝食バイキングも行くまいと思う。

 飲み会などの会食は、多くの人が参加するか否か悩んでいると思う。会食の目的は食事だけでなく会話である。私のような高齢者ともなれば会話の方が重要な要素になる。でも、食べながらしゃべればどうなるか、想像するに難くない。私自身は、少なくともあと半年は参加する気にはなれない。

 では、新しい生活パターンではどうすべきなのか。私は、単独行動を推奨したい。出張はできるだけせず、どうしてもというなら一人で行く。昼食は集団では行かず、時間をずらして単独で行く。できればタバコ部屋や談話室のような人の集まる場所は無くす。「ボッチ飯」こそ最高ということである。

 もう5年間独居生活をしている高齢者の私にとっては、一人の食事は苦にはならない。でも、時には美味しい料理と美味しいお酒を楽しみたい。この時期なので、「おひとり様割引」などしてもらえないだろうか。ひとりで飲食すればしゃべることもない。長居をすることもない。でも入ったことのない料理屋に一人で入るのは抵抗がある。おひとり様大歓迎で割引する、なんて言ってくれたら敷居が低くなるのだが。考えてくれないだろうか。



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