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歯を食いしばる


2018.12.16


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 まったく、70年生きてきたのに知らなかったこと(と言うか、知らなかったと知ったこと)が増える一方だ。さらには、理由のわからないものの存在も多くなっている。電車に盛んに広告出している100円だか0円だかの脱毛のエステサロンはどういうビジネスモデルになっているのか。(何となく想像はつくが)。

 2週間ほど前、突然前歯が痛み始めた。元々、治療後の歯がぐらついたり、治療した歯の一部が欠けたりして歯医者に行かなければならないと思い続けていたのだが、痛みもないし生活にさほどの影響もないので、暇になったら行こうと先延ばしにしていた。しかし、食事に支障があるほどの痛みとなれば我慢しているわけには行かず、職場に近い歯科医院を予約した。

 ようやく10日後に診察を受けることができた。その頃には食事中に痛む歯にぶつからないように気を付けていたせいか、何もしなければ殆ど痛みを感じなくなるまでになっていた。レントゲンと口の中の写真を撮って分かったことは、前歯の裏が下の歯にぶつかって削られていたということだった。「歯ぎしりをしませんか」と聞かれてすぐに気づいた。歯ぎしりというより歯の食いしばりの頻度がとても多いことに。

 若いころから、(仕事でも家事でも)何かに夢中になっているときに歯を食いしばっていることに気づくことが多かった。そんなときは、「リラックス、リラックス」と自分に言い聞かせて口を緩めた。最近もその傾向が強く、大学のデスクトップパソコンに、「リラックス」と書いた付箋を貼っていたほどである。これが私の歯を苦しめていた要因だったのか。治療した前歯のぐらつきもそのせいだった。治療していなかった歯はもろにダメージを受けて、痛みの原因になったというわけである。もっと遡れば、20年以上前から奥歯が義歯になってしまった理由もそこにあったのかもしれない。

 虫歯ではなく、歯槽膿漏の疑いもないので、マウスピースを作って装着することで、歯ぎしりを防ぐ訓練をすることになった。マウスピースが出来上がるまでにまだまだ時間がかかる。それに、ちょっと安心して通常の食事をしてしまったら、前歯に食べ物が当たって痛みがぶり返してしまい、市販の鎮痛剤を飲んでも眠れない事態に陥ってしまった。その後は食事に気を付けて、小康状態を保っている。これがいつまで続くのか。情けない。

 1週間ほど前、テレビの健康番組でインフルエンザに罹りにくくする方法を取り上げていた。私はインフルエンザに一度も罹ったことがない。ワクチンも打ったことがない。この番組によると、インフルエンザに罹りにくい人は口呼吸をしない、とのことである。確かに、私は歯を食いしばっていることが多いので口呼吸をすることは殆どない。ひょっとして、インフルエンザに罹らないのは歯を食いしばっているせいなのか。つまり、歯を犠牲にしてインフルエンザを防いでいるってことか?ちなみに、私は眼鏡をかけているのでマスクはしない。うがいも殆どしない。手洗いはトイレの後は必ずするが、帰宅時はうっかり忘れることが多い。世の中にはまだまだ分からないことが沢山ある。



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