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切手を貼る楽しみ


2018.11.24


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 私が(このコラムを書く以外に)毎週欠かさず行っていることがある。94歳の母に手紙を出すことである。メールでも電話でもなく、便せんに手書きで書いた手紙を封筒に入れて、ポストに投函しているのである。土曜日の夜にその週にあったことなどを大きな文字で書き、日曜日の朝にポストに入れに行く。月曜日か火曜日か、毎週決まった曜日に母のところに届いているはずである。

 3年半前までは、毎週土曜日の午前7時半に実家に電話を架けていた。これは数年続けていたと思う。それを止めたのは、当時97歳だった父が最後の入院をし、同時に母が高齢者施設に入ったからである。当時の母は、家の中で転んだことがきっかけで手足が不自由になり、さらに白内障で殆ど目が見えなくなっていた。父は間もなく亡くなり、母はそのまま施設に残っている。目は手術をして片方だけは見えるようになったが、手足は不自由なままである。幸いなことに頭はしっかりしており、言葉も明瞭である。内臓の疾患もない。ただ、電話を取ること、手紙を書くことができないのである。だから私は、一方通行の手紙を出し続ける。戻ってこなければ届いていると信じながら。

 最初は何の飾りもない白い封筒と白い便せんを使っていたが、家の中に沢山の可愛らしいレターセットがあることに気づき、最近はそれらを週替わりで使っている。切手は「郵便局のネットショップ」で買っている。5400円以上買えば送料が無料になるので、色々な種類を組み合わせてまとめ買いしている。最近は植物のシリーズや和食のシリーズをよく使っていたが、そろそろ飽きてきたので、「天体シリーズ」「日本の伝統・文化シリーズ」「ムーミン」を購入した。個性の強いレターセットとの組み合わせを考えるのはちょっと大変だが、選ぶのは楽しい。最近の切手はシールになっているので、貼るのはとても楽である。先月、孫たちと一緒に母を訪ねたとき、私の送った手紙が箱に収められていた。時々出して、封筒と切手だけでも眺めて楽しんでもらえたら嬉しい。

 実は、年末に大仕事を控えている。年賀はがきに切手を貼る作業である。夫を亡くし、父を亡くして2年間年賀状を出さなかったが、昨年末に再開した。それまで長い間、年賀はがきに文章とイラストを印刷して送っていた。近くのスーパーのチラシで好きな絵柄を選び、注文する形である。しかし、昨年からは出す数も大幅に減ったこともあり、白いはがきに自分で書いた文章(定番のものだが)とイラストを印刷し、切手を貼って出すことにした。切手はもちろん「郵便局のネットショップ」で買った。昨年末の経験では、少なくなったとはいえ印刷した年賀はがきに切手を貼っていくのは大変であった。年賀用の切手はシールになっていないので、水を含ませたペーパータオルを手元に置き、切手を濡らして貼り、テーブル一杯に並べて乾かす。乾いたものを重ねると結構膨らんでいる。なんだか手作り感があるような(そんなことないか)。来年の切手はイノシシのイラストだが、あんまり可愛くないのでちょっとがっかりしている。

 さて、今週末の母への手紙には天体シリーズの切手を貼ろうか。ムーミンもいいな。



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