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コロナとの共存とゼロトラスト


2020.07.24


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 新型コロナウィルス感染拡大に呼応するように、サイバー・セキュリティの問題がクローズアップされてきている。勿論、コロナが無くとも重大な脅威であることに変わりはないのだが、テレワークなどのインターネットを活用しなければならない仕事が増えることで、脅威は加速されたようだ。その中で、私は初めて「ゼロトラスト(信頼しない)」がトレンドであることを知った。性善説から性悪説への変化とも言える。この考え方は、コロナとの共存でもあてはまるのではないか。

 不要不急の外出の自粛が求められている昨今、高齢者の私こそは公共交通機関を使うなどとんでもない状況なのかもしれないが、どうしようもない事情により、週に一度は電車に乗っている。通勤通学の時間帯を避けているので座席は1人おきに座れる。時々隣に人が座ることもあるが、短時間であるし、じっとうつむいてスマホを見るか居眠りするかしているので不安を感じることは無い。ところが、周りを観察してみると、空いているのにあえて2人、3人とくっついて座る人たちがいる。家族あるいは友人、会社の同僚同士である。そして大抵、密接してしゃべり続けている。家族なら分かる。しかし、他人同士であんなに密接しておしゃべりしていて大丈夫なのだろうか。相手を信用している?でも、感染していて無症状の人もいるではないか。まさか、お互いにPCR検査の結果を確認しているわけでもあるまいし。電車内だけでなく、職場でも、飲食店でも同じような状況なのだろう。これでは若い人のコロナ感染が広がるわけだ。

 知らない人、親しくない人に対するゼロトラストは可能である。でも知り合いでは難しい。親しくない人との会食は何か理由をでっち上げて断ることはできても、職場の会話や昼食には嫌でも付き合わなくてはならないだろう。それでも、感染拡大を止めるにはゼロトラストを進める以外ないかもしれない。それをうまくやる方法はないだろうか。

 TRIZというロシアで生まれた創造性理論がある。かつて、大学の私のゼミでこれを社会の問題解決に使っていた。(今は退職して非常勤講師になったのでゼミは担当していない。)TRIZには「40の発明の原理」というものがあって、それらを使って解決策を発想するのである。40個ある原理の中で最も使われたのが「分割の原理」と「分離の原理」だった。つまり、対象物を細かく分割し、必要な部分もしくは特性だけを抽出し、邪魔になる部分もしくは特性を取り除く、という解決策が最も多かったと言うことである。新型コロナウィルスの諸問題の解決策を探るのにTRIZを使ったとしても、同じような解になるのではないか。対象を時間、空間、状態で細かく分割し、各々に対して対策を取る方法である。

 旅行であっても会食であっても、対象物全体をゼロトラスト(信頼しない)に押し込んでしまうことは、人間関係や経済に対して新たな問題を引き起こす。であれば、どの対象のどの部分は安全か危険かを細かく分類して対処するしかない。旅行でも食事でも一人、家族、友人同士は分けて考えるべきである。仲の良い友人や会社の同僚であっても、全ての行動を把握できない限り、信頼できるかどうかよく考えて付き合う必要があるのではないか。



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