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ギガに泣く夏よ何処へ


2019.09.01


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 一年中が夏休みみたいな生活になりつつある71歳の私でも、夏休みはウキウキする。この夏は「仕事場」に籠ってRaspberry Pi(ラズパイ)で大いに遊んでやろう、Pythonの勉強もしっかりやるぞ、などと張り切っていたのはほんの1か月前である。しかし、そこには大きな落とし穴があった。そもそも「仕事場」にはネット環境がない。wifiが使えないのである。であればwifiの契約をすればいいだけではないのか、と誰もが思うところだが、無駄遣いが嫌いな「ケチケチ婆さん」の私は、それをせずにiphoneのテザリングで乗り切ってきた。少なくとも7月までは。しかし8月はその思惑が外れてしまった。

 スマホ(iphone)の契約では毎月の通信量が9ギガバイトまで使えることになっている。これまで、「仕事場」のパソコンでネット検索を行い、Pythonの勉強のための環境づくりや必要なアプリのダウンロードを繰り返していたが、毎月利用した通信量は7.5ギガバイト止まりだった。あと1.5ギガの余裕がある、とタカを括っていたのが裏切られた。

 問題のひとつは8月10日にラズパイを壊してしまったことである。その原因究明と修復のための試行錯誤をする間に、いくつかのアプリのダウンロードを繰り返した。さらにPythonの勉強では大量の顔の画像処理を盛んに行った。その結果、8月15日の時点で7ギガバイトも使い果たしてしまったのだ。あと半月を2ギガで暮らせと言うのか。給料日前の安サラリーマンの心境である。そこで、仕事場でのネット使用は検索とPythonの勉強のみにしてケチケチ生活をすることにした。しかし、そんなことは焼け石に水だった。数日後には残り0.5ギガにまでなってしまった。8月はまだ10日以上も残っているというのに。残る手段は「仕事場」を諦めて自宅で作業をするということしかなかった。

 私は3台のパソコンを使っている。そのうちの1台は軽くてバッテリーの持ちもよいので、自宅、大学、仕事場の移動にいつも持ち歩いている。当初は大学の講義のプレゼンテーションと自治会の会議の議事録作成に使うことが多かったが、そのうち、Pythonのプログラム作成の環境を作り、勉強にも使うようになった。最終的にはこれが使用頻度トップを取ってしまった。そしてある朝、パソコンを立ち上げるとデスクトップ画面がおかしな状態になっていることに気づいた。全てのファイル、フォルダーのアイコンに奇妙なマークが付いていたのだ。言葉で表現するのは難しいが、「左上から右下に並ぶ向き合った2つの青い矢印」である。一つだけなら可愛いものだが、全てのファイルとフォルダーとなると気味が悪い。何しろどこを開いてもそのマークが付いているのだから猶更である。これが赤い●ならまるで蕁麻疹である。その原因はすぐに判明した。ディスクの容量不足のため自動的に圧縮が行われたという印だった。パソコンまでギガに泣かされるとは。

 『ディスク容量不足によりwindowsのupdateができない』という警告をきっかけに、不要なファイルの削除とゴミ箱内のゴミの消去を繰り返し、ディスクのクリーンアップを行って何とか25ギガ以上の空きを作った。でも青い矢印マークは消えない。こちらは貯金が底をついた高齢者の心境である。抜本的な対策が必要だ。夏はもう終わる。



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