私は本当にせっかちだ。エスカレータに乗れば必ず右側(関東の場合)を歩いて上ってしまう。時間は十分あるのに。そもそも会議は5分前までに座って開始を待ち、初めての場所の訪問の際は30分前に着いて場所を確かめ、国内線での航空機移動の際は1時間前に空港に着いている、というのを何十年も頑なに守ってきたので、ぎりぎりに駆け込むことなど事故でもない限り考えられない。それでもなぜか歩いて上り下りしてしまうのだ。
一方で、「急がば回れ」も頑なに守っている。少々遠回りでも信号機のある横断歩道を使って道を渡るし、信号機が点滅を始めたら渡らずに待つ。よっぽどのことが無い限り走らない。理由は「交通事故が怖い」からである。結論から言えば、私にとっての優先順位は、@事故を起こさない、A早く目的地に着いて安心する、ということになる。そう考えるとエスカレータを歩いて上り下りするのはAに因るものということになる。本当だろうか。
せっかちな私がイライラする事象の一つに、半年前に買ったノートパソコンの立ち上がりの遅さがある。まず、電源を入れてユーザ認証までが長い。指紋認証の受付のタイミングが少しでもずれると全く反応しない。最近は疲れ果ててパスワードの入力をすることが多い(というより殆ど全て)。次に、outlookを立ち上げてメールを読めるようになるまでが長い。全く反応しないので慌ててもう一回クリックすると最終的には必ずエラーになるので知らんふりして待つ。忘れた頃に立ち上がる。Office365のせいだ。でもクラウド時代なのでつきあっていかなければならない。もうひとつイライラする事象がある。毎朝の化粧の際に使う化粧水である。肌に染み込むまでに時間がかかり、次の工程(BBクリームを塗る)に進めない。じっと鏡の中の70歳の皺だらけの顔を見ているのはつらい。
ここで気づいた。いずれもA早く目的地に着いて安心する、とは全く関係が無い。はっきり言って若い頃よりずっと暇である。結局、「何かできそうで何もしていない時間」が辛いのである。この理由なら、遠回りが苦にならないのも理解できる。歩くという行為をしているからである。信号機が変わるのを待つ、エレベータが到着するのを待つ、のも時間が長くなればイライラするはずである。現状は我慢できる範囲にある。
待つのが辛ければ「他のことをする」のが一番である。パソコンのスイッチを入れたら風呂の支度を始める。Outlookのアイコンをクリックしたら、スマホでテレビ番組を調べる。他にも、食材を冷蔵庫から出しておく、コラムのネタを考える、自治会の集まりのスケジュールを確認する、などなど、ほんの1,2分はあっという間に経つ。さらに、化粧水を塗ったら好きなピアノ曲をかけることにした。1曲聴き終わるころには化粧も終了している。何より気持ちが落ち着くのが大きなメリットである。
私にとって辛いのが「何かできそうで何もしていない時間」だということが分かったところで、現在大きな問題に直面していることに気づいた。来年3月の大学の定年である。その後の「何もしていない時間」をできるだけ無くしたい。「古希の終活」より先に「コキの就活」を始める必要がある。この私の性格は一生治らないだろう。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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待っているのが辛い時
2018.09.23