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発想を変えてみる


2018.09.02


イメージ写真

 頭を柔軟にすることで新しい発想ができる、と学生には常日頃から言っている。それには、頭を柔軟にするきっかけが要る。そのひとつが何らかの制約ではないかと思う。制約にも、「どうしてもそうすることができない」という逃げられない制約(例えば、私が年齢の制約で人気アトラクションを体験できないなど)と、あえて自分で設定する制約(例えば物を増やさずに生活環境を一変させるなど)がある。後者の場合は、制約を作ること自体が楽しいし、そこでも頭を柔軟にする必要がある。

 我が家には何枚かの絵画(版画、切り絵、ポスター、レプリカ)の額がある。大半は自分がネットで購入したものである。これらは、玄関や階段の壁、ピアノの上などに飾ってある。好きなものばかりのはずなのに、鑑賞することは殆どない。あることすら忘れている位である。なぜだろうか。ひとつは場所の問題、もう一つは高さの問題だと気付いた。

 玄関や階段は通過する場所なので滞在時間が非常に短い。それに暗い。そして、足元を見ているので壁に目をやることがない。居間は滞在時間が長く、明るいのだが、滞在する場所はソファーであり、目の高さはテレビである。ピアノの上に視線を持っていき、視線を留めておくにはエネルギーを要する。

 これらの額をじっくり眺められるようにするために、全て居間に移動することにした。まず壁を傷つけずに掛ける方法を検討した。現在はねじくぎのようなものを使わなくても強力な接着方法があるようである。でも、本当に壁を汚さずにすむのか。地震があっても額は落ちないのだろうか。今一つ納得がいかなかった。

 ショッピングセンターをぶらぶらしていたら、かわいらしいイーゼルを見つけた。机の上に写真など飾るのに良さそうである。安かったので2つほど購入した。そのときふと考えた。額を壁に掛ける必要はあるのだろうか。床においてもいいのではないか。イーゼルが使えそうである。早速ネットで木製のイーゼルを注文したら、次の日の朝には届いた。床に置いて額を乗せると、ソファーに座った時に丁度視界に入る。さらに、やや視線を下げることで長時間でも疲れずに好きな絵を眺めていられる。イーゼルは増えたけれど効果は大きい。

 逃げられない制約の対処はこううまくはいかない。5年以上酷使してきたデスクトップパソコンが老朽化のため立ち上がりに膨大な時間がかかり、殆ど使い物にならなくなってきたため、新しいノートパソコンを追加購入した。サクサク動くと思いきや、やたらに立ち上がりが遅い。違うのはoffice365に変わったことである。仕事を始める際に、どこか遠くの.サーバにお伺いを立てているのではないか。そこで、できるだけネットとつながずに仕事することにした。Wordで文書を書いている最中は問題なかったが、一旦ファイルに格納しようと思ったら「ネットにつながっていません」と断られた。慌ててネットにつないで格納したけれど、ネットで調べたらオフラインでもファイル格納は可能らしい。ああ面倒くさい。Office365での生産性向上方法は、自分で考えるより他人の知恵を借りる方が手っ取り早そうである。機械に制御される生活って一体何なんだ?



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