今年は、私の研究室に15人の学生(3年生と4年生)が来た。まずは、自分の関心あるジャンルのテーマを探し、それについて現状調査を行う。そこから研究テーマを絞り込んで、SNSのデータを収集して分析を行い、新たな事実や問題を発見したり、問題の解決策をTRIZという創造性技法を使って発想したりする。4月、5月は現状調査の時期である。
15人の持ってきたテーマは15色ある。IT業界や物流業界における労働環境の問題解決、格安SIM業界と三大キャリアのこれからの方向性、といったビジネス分野もあれば、保育園の待機児童の問題や高齢者向けスマートフォンのあるべき姿といった現実社会に密接に関連したもの、AIなどの先端ITの発展による生活の変化、仮想通貨の問題点と解決策、といった技術的なテーマもある。
ゲーム業界をテーマにした学生が2人いた。一人はeスポーツというテーマをもってきた。ゲームには全くというほど関心のない私なので、説明を受けながら自分なりに解釈してみた。スポーツというからには、格闘技や球技や陸上競技を扱ったゲームをネットで行って、それを大きなディスプレイに映して多くの人が観戦する、というものに違いないとイメージした。もう一人のテーマは、ゲームを知らない私でもCMで知っているソーシャル・ゲームの会社3社を取り上げ、その売り上げの推移を比較し、売り上げに影響する要因を分析したいというものだった。マーケティングの問題か、とまずは捉えた。
最初は、同じゲームではあっても、全く違ったジャンルなので(と私は勝手に思い込んで)別々のテーマとして捉えておけばよい、と考えた。ところが、ゲーム会社3社の売り上げに影響する要因としてeスポーツがある、という話になった。スマホでeスポーツ?私の考えていたイメージと違う。しかし、学生たちはスマホでeスポーツをやっていると言う。一方、eスポーツを取り上げている学生の話の中で、日本は最もeスポーツが遅れている国だが、今度ぷよぷよの大会があるのでSNSのつぶやきも増えそうだ、ということが出てきた。それってどんなスポーツなんだ。すっかり混乱してしまった私に、学生が教えてくれた。競い合いをして賞金が出るような大会があればeスポーツと言えるのだそうである。しかも、後で調べたら数人で大会と称してゲームをすることもあるとのこと。職場のマージャン大会みたいなものか。頭の切り替えを迫られる事態となった。
そもそも私を含む一般の日本人の考えるスポーツとは、まず体を鍛えるために筋トレ(昔はうさぎ跳び)をし、体力の限りを尽くして戦うというものだった。しかし、ネット時代のスポーツは、競い合うことが条件で、体を使う必要はないようだ。だからゲームは全てスポーツになりうる。電子的に行うゲームならeスポーツになるというわけか。日本でeスポーツが流行しない理由は、スポーツを(私のように)青空の下で行われる肉体のぶつかりあいのイメージで捉える日本人が多いからだろう。世界の基準は違うのである。
実は、私は囲碁や将棋を含むいわゆるゲームというものに全く興味が無いと同時にスポーツにも興味が無い。心の中では両者を同じジャンルと見ているのかもしれない。
自分の信念に従って行動する「高い志を持つ、市場価値の高い技術者」を育成します。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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スマホのゲームがスポーツとは
2018.05.20