少子化と保育環境、待機児童について調べている学生の報告に驚いた。古いデータらしいが、保育園に通っている子供の数が幼稚園に通っている子供の数の1.8倍もある。幼稚園は3歳児から5歳児までが通うのに対して、保育園は0歳児から5歳児までであるので、保育園児の方が多くて当然なのだが、ここまで差があるとは思わなかった。学生には、さらに子供の数の推移や幼稚園教諭、保育士の数、施設数など詳細に調べるように伝えた。しかしどうも気になるので、自分でも調べてみることにした。
文部科学省の報告によれば、2016年の幼稚園児の数は1,339,761人、2017年は1,271,918人となっていた。134万人から127万人に減っている。一方、厚生労働省の報告によれば、認定こども園等を含む保育園の子供の数は2016年が2,458,607人であり、2017年は2,546,669人である。246万人から255万人に増えている。すでに保育園に通っている子供の数が幼稚園に通っている子供の数の2倍になっている。少子化の影響で幼稚園児の数が減るのは分る。しかし、それ以上に、仕事に出る母親が増えてきて、かつては幼稚園に行っていただろう児童が保育園に流れてきているのだろう。幼稚園が認定こども園に変わっているのもその流れの一環と思う。だから保育園児が大幅に増加している。子育て期の女性が働くことが当たり前になりつつある現状では、この流れは加速していく一方ではないか。
今から65年前、私も幼稚園に1年だけ在籍していた。ただし、いわゆる登園拒否児で、親が付いていてくれる遠足、運動会、学芸会しか出ていない。子供たちは保育園に通った。孫たちも保育園に通っている。という訳で、私自身は幼稚園というものが今一つ分かっていない。幼稚園のイメージは、可愛い制服、可愛い動物の絵が描いてある送迎バスくらいである。そういえば、最近はそんな幼稚園児を殆ど見かけない。その代わり、ピンクや黄色の帽子をかぶって保育士さんと手をつなぎ、大きな乳母車に乗ってお散歩する保育園児にはよく会う。少子化が進むこれからの時代、幼稚園はどうするつもりなのだろうか。
幼稚園についてよく知らないとはいえ、幼稚園が文部科学省の管轄の教育施設であり、保育園が厚生労働省管轄の児童福祉施設であることぐらいは知っている。目的が違うということも分かる。しかし、共通する3歳児から5歳児までの子供に求められるものは殆ど同じではないか。違いがあるとすれば保育園は幼稚園よりも預かり時間が長いのでそれだけケアする部分が多いという点だろう。教育面では差がある方がおかしい。小学校に入るときは同じ条件であるべきだからである。目的についても女性活躍の時代にそぐわない面も見受けられる。将来は目的も管轄も一本化していくべきではないか。
幼稚園と保育園を一本化しようとすれば、違いの部分をどうするか、という問題が起きる。まず、幼稚園の機能と保育園の機能を細分化し、共通する部分、異なる部分を明確にすべきだろう。そして各部分に合った保育人材(教諭や保育士)を明確にして、人材育成をする。資格が不要な仕事を切り出して他者(パート、アルバイト、リタイアしたシニアなど)に委託する。幼稚園や保育園の将来のためにも、やってみるべきではないか。
自分の信念に従って行動する「高い志を持つ、市場価値の高い技術者」を育成します。
「市場価値の高い技術者の育成」を目指して、
コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
トップページ > コラム
幼稚園が少子化を乗り切るために
2018.05.13