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デジタル化の恩恵(新聞の場合)


2018.04.15


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  40年以上毎日届けられていた新聞を、思い切って3月末で解約した。取っていたのは日経新聞と読売新聞である。両方の朝刊夕刊で月額9000円近く支払っていた。止めた理由はいくつかある。まず、忙しい朝に2誌を読むために4時前に起きなければならなかった。それでも、大半の記事はタイトルを見るだけで終わってしまった。また、多くの記事は前日にネットやテレビで報道されているものより古い内容だった。さらに、夕刊は殆ど読まずに終わっていた。何より、一人暮らしには高額過ぎた。新聞紙とチラシの量も半端ではなく、毎月リサイクルに出してトイレットペーパーを2,3個貰っていたが、それも使いきれずに棚の上にあふれかえっている。

 さて4月1日は、初めて新聞無い生活の始まりだった。日曜日なのでテレビでもと思ったが、番組表がない。新聞の番組表を見て観たい番組があればテレビをつける、というパターンだったので、テレビを付けてから番組を探すというパターンにはなじめない。何となくスマホをいじっていたら、日経電子版のキャンペーン広告が飛び込んできた。新聞無しは1日と持たず、日経電子版に登録してしまった。2か月は無料だし、その後も、過去に支払っていた2誌の額の半分で済む。

 2週間が経過して、デジタル新聞は生活に変化をもたらしてくれた。まず、起床時間が1時間遅くなり、4時50分になった。新聞受けに行くことなくパソコンを立ち上げて新聞を読む。と言っても、1面の記事と最後の「私の履歴書」だけで、あとはタイトルをざっと見るだけである。通勤電車では、座れるとすぐに居眠りしていたのだが、スマホで新聞を読むようになった。結構長時間の通勤をしているので、沢山の記事を読むことができる。帰宅時には、これまで時間が無くて殆ど読まなかった夕刊を読むようになった。大学でも、空いた時間にはマーケット情報などをパソコンでチェックしている。(これも講義のときの話題作りに必要である)

 私はよく記事を切り抜いてクリアフォルダーに入れ、技術者倫理や情報システムの講義のときに話題として出して学生に考えさせたりしていた。今は、そんな面倒なことをせず、記事を保存できる。最近では、衛星画像を安価に提供することで農業などに役立てようとしているスタートアップ企業の記事を切り抜き保存した。これは情報システムの講義で使えそうである。

 最近の若い人たちは新聞を取らない。私の(中年の)子供たちもそうである。チラシだってデジタル化されている。紙の新聞にこだわるのはパソコンを使いこなせない高齢者だけになってしまうのではないか。新聞紙やチラシをひもで縛ってリサイクルに出すのも結構きつい。ぜひ高齢者も脱紙文化になって欲しい。

ところで、新聞紙には色々な使い道があったはずである。物を包む、白髪染めのときに床に敷く、押し花を作るときには大量の新聞紙が必要だった。押し花は別としても、新聞紙にはまだまだ活躍の余地はあった。少し残しておくべきだった、と後悔している。



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