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長距離通勤と空き家の活用


2017.11.12


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 毎日、片道3時間かけて通勤している。朝5時半頃に家を出るが、前半の都心に向かう列車では座れないことが多い。一時、足を痛めていたときにグリーン車を利用したが、それですら、私の乗る駅の二つ先の駅では満席になり、立っている人も見受けられた。その電車は東京駅に7時頃に着く。そんな早くに始まる会社など殆どないだろう。ということは、私のように、そこからさらに電車を乗り継いで行く人が多いと言うことである。

 実は、時期によっては、乗ってすぐに座れることもある。しかし、座れても座れなくても疲れ方に殆ど差はないのである。殆ど毎日座れた週であっても、週末近くなると疲労が溜まるのは、殆ど座れなかった週と同じである。やはり長時間であることが体に負担になっている。

 それにしても、このIT時代になぜ長距離通勤をしなければならないのだろうか。インターネットが普及してから20年以上経つのに、どうして在宅勤務ができないのだろうか。サテライトオフィス、ホームオフィス、などという言葉は四半世紀前からあったが、一向に広がっていない。できない理由だけはいくつも挙げられる。セキュリティ、勤務状況管理の難しさ、やはり顔を合わせないとコミュニケーションはうまくいかない、などなど。そして、鉄道各社が乗り入れを進め、JRが湘南新宿ラインや上野東京ラインなどを通すことで、移動は便利になる。かつてはとても通えないと思っていた場所からも、朝早く出れば通えるではないか、ということで通勤をしてしまう。このまま行けば、長距離通勤は増えることはあっても減ることはないのではないか。

 さて、話は変わるが、空き家が増えていることが問題になっている。幸い私の住んでいる地域では、うまく世代交代できているのか空き家率が低いと自治会でも報告があったが、他の地域ではかなり増えているようである。空き家にしていると家はどんどん傷む。庭も荒れてしまい、そばを通るのも怖い気がする。何とか利用できないものだろうか。そんなときに「サテライトオフィス」が頭に浮かんだ。自宅で仕事をするのはスペースや時間管理で難しいのであれば、空き家を改装してオフィスにして利用するのはどうだろう。電気、ガス、水道、通信などのインフラが整っているのだからできないはずはない。週に2,3日近くに通うだけでも通勤の疲労はかなり軽減されるはずである。

 都会の立派なオフィスビルに通勤していることがステータスであるという時代はもう終わったのではないか。これからは70歳以上まで長く働き続けなければならない時代がやってくる。できるだけ体に負担のかからない働き方を工夫しなければ耐えられなくなるはずである。通勤をより便利にする努力も大切だが、通勤を止める努力も重ねてしていくべきだろう。空き家とITをうまく活用することで解決できないだろうか。

 最後に一言。できない理由をいくつ並べても何の意味もない。どうしたらできるか考えるべきである。繰り返しになるが、たとえ座れても、長時間の通勤は疲れる。



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