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人生100年、自分ならどうするか


2017.09.17


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 2017年9月12日の読売新聞朝刊の1面に「人生100年時代構想会議」(議長・安倍首相)の初会合が首相官邸で開かれたという記事があった。人生100年時代と言えば、『ライフ・シフト−100年時代の人生戦略』(リンダ・クラットン、アンドリュー・スコット著)が土台になっているはずである。確かに、この会議にリンダ・クラットン氏が出席していた。というわけで、昨年末に読んだこの本を再度読み返してみた。

 今回は、自分ならどうするか、と言う観点で考えながら読むことにした。私は1948年生まれなので、三人の登場人物の中でジャック(1945年生まれ)に着目した。まずはジャックのつもりで人生をたどってみようと思ったら、何と彼は62歳で引退、70歳でこの世を去るということになっている。冗談ではない。来年私は70歳になるがまだ死にたくはない。それに、まだ引退もしていない。しかし考えてみると、1941年生まれの夫は60歳で引退し、73歳で亡くなっている。現実離れした設定ではないようだ。

 気を取り直して、もう一人の登場人物ジミー(1971年生まれ)の人生をたどってみることにした。ジミーは男性であるので85歳で亡くなるという設定になっている。自分の子供のような世代ではあるが、ひょっとしたら私はこの世代を先取りして生きてきたのではないか、と思えるくらい自分に近い。まず、ジミーは65歳で引退することを考えているが、それでは引退後の生活資金を確保するのがかなり難しい。70歳代前半まで働かなければならないことは確かである。ジミーの3.5シナリオというものが、私のこれまでの人生に最も近い例だった。ジミーは55歳から会社勤めの傍ら大学で教え始め、その後フルタイムの教授になる。そして、71歳で引退する。私も58歳から大学の非常勤講師を始め、65歳で会社を定年退職後にフルタイムの教授になった。あと1年半の任期があり、それが切れるのが同じ71歳である。しかし、その結末を見てがっかりした。ジミーは71歳で完全引退するときには「もう終わった人」扱いをされて消えていくのである。女性の私はもっと長生きする可能性がある。私が100歳まで生きるとすればあと30年もあるのだ。終わった人になるのは早すぎる。

 最後の救いを求めて、ジェーン(1998年生まれ)のケースを参考にすることにした。丁度、私が教えている学生の年代である。100歳以上まで生きるだろうジェーンは、70歳でリフレッシュのための旅に出る。その後、それまで培ってきた経験や人脈を使って複数の仕事を組み合わせて行っていく。85歳で引退した後は孫やひ孫たちと海外旅行などをしながら過ごす。なるほど、70歳過ぎても次の仕事の仕込みを怠りなくやって、仕事を続けていくということなのか。決して終わった人にならないように。

 結局のところ、どの世代の人であっても、先人の価値観、生き方を踏襲していては100年時代を生き抜いていけないのだ。70歳近い私であってもジェーンの生き方を参考にして人生設計をする必要がある。しかし問題は何を仕事として選びどのような準備をするかである。そして何より重要なのはよい人脈を作ることである。やるしかあるまい。



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