来月(11月)、インドのバンガロールを訪問する。ここはインドのシリコンバレーとも言われている地域であるので、情報産業に携わってきた者としては、ぜひ実状を知っておきたい。しかし、バンガロールいやインドについて、今の私は全く分かっていない。イメージすら湧いてこないのだ。行ったことのない国であっても、想像することくらいできるだろうと思われるのだが、それができずにいる。この情報が溢れている現代になぜそうなのだろうか。
訪問の日は近づいている。そんなことは言っていられない。大きく発展している国について知りたいことは沢山ある。まずは、訪問先候補の企業や大学のHPを見る。何をしているのかは概ね理解できる。しかし、これだけでは足りない。その先を知るために「詳細」ボタンをクリックすると、もうついていけない。情報が多い上に内容が専門的で理解できない。まるで近視が進んだかのように、ぼやけて見えなくなる。これからそれらの企業や大学に質問することを見つけなければならないのだが、それに至るのはかなり困難だ。専門的な内容の勉強を始めるのでは間に合わない。
かつては、想像力を発揮すれば何とか理解できた。曲がりなりにも内容の本質を見つけることができた。なぜそれが困難になったのか。2つの要素が思い当たった。一つは、自分で考える努力が減ったことである。これは、年齢に関係なく世の中で起こっていることのように思える。もう一つは、信じたくないが自分自身の「老化」である。
一つ目の要素の原因を探ってみる。世の中に情報が溢れ、聞けば何でも教えてくれるAIが普及することによって、想像力を働かせながら考える努力がおろそかになっているのではないか。これまでは、見えないところは目を凝らして見る、不足しているところは想像力で補うなどして、「自力で」状況を把握し、判断をする努力を続けていた。それが減れば、想像力も理解力も衰えるはずである。自分で考えずに他人の言っていることを鵜呑みにするしかない。それをSNSが後押しする。
二つ目の「老化」については、身近に経験することが多いかもしれない。時代の変化について行けずに時代錯誤の言動を繰り返す高齢者の存在である。私自身はそんなことはしていない、と言いたいが、勝手な思い込みで行動することは多々ある。頭の中(思考)がアップデートされていないのだ。それが分かっていても、アップデートするエネルギーが不足している。物事をじっくり考える力も、考えるエネルギーも不足している。
訪問の日までに、できるだけ「知りたいことに的確に答えていただける質問」を用意しなければならない。では、どうしたらよいのか。これはもう、頭をフル回転するしかない。かつてのようにはいかなくても、できるだけ理解できた内容から想像力を働かせて本質を掴められるように努力するしかない。高齢者だから、などと言う甘えは許されない。会ってくださるインドの方々に敬意を表しつつ、対面できるように頑張ろう。
いずれにしても、脳に栄養を与えることは必要だ。季節は秋を素通りして冬が間近に迫る。エネルギーを補うためにも食べなくては。甘いもの、暖かいものが恋しい。
自分の信念に従って行動する「高い志を持つ、市場価値の高い技術者」を育成します。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)

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想像力はなぜ劣化するのか
2025.10.26

