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未来を担う人に望むこと


2025.6.29


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 もしも生まれ変われるとしたら、研究者になりたい。テーマは何でもよい。宇宙、地球、生物、人間・・・。それらの本質的なもの(真実)を掴んで、さらなる未知なものを探っていく。最終的には、地球が安全かつ豊かになるのに役立つ何かを見つけ出したい。子供の頃もそのようなことを考えていたような気がする。残念ながら、それは叶わなかった。もう頭も身体もさび付いてしまい、現在は生き延びることだけで精一杯である。

 そもそも私自身にはそのようなことができる能力(つまり頭の良さ)が不足していた。物事を追究する意欲も忍耐力も不足していた。ただし、能力が無いなりに自分ができるだけの努力をしてきたつもりだ。残念ながら何も成果が上げられなかったが、これまでの77年の人生に対して後悔の念はない。後は、自分の子供や孫の世代に期待するだけである。ぜひ、地球を守り豊かにするために、あらゆる分野の研究を推進し、新たな技術の開発をして欲しい。それを実現するために、次の世代の人達がこれから何をすべきかを考えてみた。

 世の中には本当に能力があって、その機会さえ与えられれば立派な研究者になれる人材が多くいるはずだ。そういった人たちが活動の機会を与えられずに埋もれてはいないか。それは本当にもったいない。まずは、優秀な人材を見つけ出して、十分に活動できる環境を整える必要がある。環境を整えるにはお金がかかる。国は多くの金をそれに費やす必要がある。ぜひ、未来に対する投資としてそれを実施して欲しい。

 能力のある人材を見つけ出して伸ばす機会を与えるにはどうすればよいだろう。まずは、幼い時から地球上の様々なことに興味が持てるようにすることが必要だろう。その際、大人(親世代)は子供に機会を与えるだけで満足せず、隠れた能力を見出す努力もして欲しい。見つけたら、本人がそれを伸ばしたいと思うように仕向けることも大切である。研究者や技術者などの創造的な人材になることが「かっこいい」と思わせられるようにするのだ。

 さらに、親世代にも望みたいことがある。もっと生産性を上げる努力をしてもらいたい。そのために最新の技術を勉強してもらいたい。身近な例を挙げれば、日本の人口は確実に減って行き、このままでは生産力が大きく減り、貧しくなることは必至である。対策はただ一つ、生産性を上げるしかない。具体的には、人間の代わりにロボット(のようなもの)に働いてもらうのだ。そのためには生産性を上げるための技術を身に着ける必要がある。それは自然に身に着くわけではない。自ら努力する必要がある。大人も現在の仕事に加えてもっと技術を勉強して欲しいのだ。全ての人が(レベルは様々でも)技術者になるべきではないか。研究者が未知の真実を掴み、それを技術者が使って新たな技術を創造する。そして生産性を大幅に上げることによって、少ない人口でも豊かな暮らしが実現できるのだ。そうすることが、地球を守り、豊かな未来を作ることになると信じている。

 後期高齢者の私も、できるだけ長く健康を維持することで、子供や孫世代の負担を減らすことに貢献したい。まずは、孫たちが、地球の未来のために研究者、技術者になってくれることを祈る。小学校時代の私が宇宙にロケットを飛ばすことを夢みていたように。

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