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働かないで済む理想の社会


2025.2.2


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 少子高齢化が進み、15歳から64歳までの生産年齢人口が減少している。それがさらに進むであろうことも事実である。それに対処するためには、労働力人口(働いている人と働く意思のある人)を増やさなければならない。だから、「○○万円の壁」を取り除いて(主として女性に)より長時間働いてもらおうとする。加えて、高齢者もまだまだ働いてもらいたいと、定年を上げたり無くしたりして、生涯現役で働くことを奨励している。でも、すべての人が汗水たらして働く社会は、理想の社会と言えるのだろうか。

 高齢者としての正直な気持ちを述べよう。高齢者が金を稼げないこと(=働かないこと)を恥ずかしい、申し訳ない、つらい、と感じさせる社会は良い社会とは思えない。例えば、定年後起業して成功した人、100歳を越えて現役で働いている人、など『○○歳で△△をしている人』の事例を見せられて、だからあなたも頑張って働け、と言われても、誰もがそんなことができるはずはない。事実、私は70代になってから記憶力、理解力、集中力が落ちていることに気づいている。ちょっと難しい本は3度読んでようやく理解できる。それでも、半年もすれば内容を忘れてまた読まなければならない。専門のIT分野に限っても、最新技術を理解するのには相当苦労する。IT分野の50年の経験など殆ど役だたないとすら思う。だから技術士事務所は人材育成のみを看板にしている。高齢者が好きなこと、できることをしながらのんびり暮らせる社会の方が幸せな社会なのではないか。

 女性としての気持ちを述べよう。たまたま私は、仕事と家庭を両立させることができたが、幸運が重なったからである。家族が健康だったこと、仕事の尽きることのないIT系の仕事を選んだこと、キャリアの途中で男女雇用均等法ができて女性登用の機運が高まったことなどである。でも、女性が家庭を大切に思って外で働くことを控えていることを悪いとは思わない。それを、もっと働けと労働に駆り立てる社会はよい社会とはとても言えない。一方、家庭を持たずに仕事をする女性も認めたい。どのような生き方をしようと本人が最も幸せと思う道が選べる社会が本当に求められる、理想の社会ではないか。

 その様な理想の社会をつくるために必要なのは、少ない人が多くの成果物を生産できる、生産性が高い社会をつくることしかない。具体的には、AIで動くロボットに働いてもらって殆どの人間は労働しないで済む社会である。もちろん、ロボットを越える能力を持ってロボットと協力して仕事をする人、ロボットを管理する立場の人は一定数いるだろう。でも、数はかなり限られるはずである。現在ある大半の仕事、特にマニュアルが存在するような仕事はロボットができるはずなので、人間はする必要がない。それでいて一定レベル以上の豊かな生活ができればよいのだ。

 ロボットが働いて殆どの人間が働かない社会では、金を稼ぐこと(=収入)で評価するのではなく、生み出した価値(感動、感謝など)で評価するようになる。それは金額に換算するものではない。リスペクトで評価すればよい。理想の社会は、ロボットが働き、人は好きなことをしてリスペクト量で評価される。それが私の考える理想の社会である。 

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