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新たに始めたこと再開したこと


2024.12.29


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 この数年、できないことや止めざるを得ないことが増えてきている。それに対して、新しいことを始めればプラマイゼロになる、と気づいたのは3年位前だった。何より、新しいことはゼロからの出発なので、どんなに小さな成果であっても感動の大きさはそれ以上である。さらに「止めていたことの再開」も新しいことと同格にすることにした。こちらも一旦ゼロになったのでプラスにしかなりようがない。というわけで、今年(2024年)最後のコラムは、今年新たに始めたことと再開したことを思い起こすことにする。

 新たに始めたこととして挙げられるのは、県の生涯学習センターのパソコン利用者を支援するボランティア活動である。具体的な仕事としては、週1回、数時間、センター内のパソコン実習室に詰めて、利用者からの質問の回答とトラブル対応をしている。また、月に1回であるが小学生を対象としたプログラミング学習会の手伝いもしている。この活動には大きな副作用としての「新たに始めたこと」がある。それが、手のひらに乗るマイコンRaspberry Pi Pico(ラズパイピコ)を使った電子工作である。

 そもそもラズパイピコと出会うきっかけになったのは、夏休みの小学生向きのプログラミング教室の教材として取り上げることになったことである。その際、教える側としてそのマイコンの機能を理解し、動かすための言語であるMicroPythonのプログラミングがある程度できなければならなくなった。5月から11月までの半年間、かなり夢中になった。

 購入したラズパイピコはネットワークが使えるRaspberry Pi Pico wも含めて3台になった。その過程で、生まれて初めてはんだ付けを経験することになった。元々手先が不器用な上に老眼の私は、何度やっても手が震えてうまくできない。それでも、モーターを動かしたり、温度や加速度センサーや人感センサーで取得したデータをネットワーク機能を使ってLINEで自分に送ったり、小さなディスプレイに図形や日本語のメッセージを表示したり、ウエブサイトに文章を表示したり、ウエブサイトの情報を取得したり、といったことができるたびに自己満足で手を叩いていた。

 再開したこととして最大の出来事は海外旅行である。もう十数年間、海外に行っていなかった。かつては仕事でもプライベートでも世界中を旅したと言っても過言ではない。でも、東日本大震災、企業の退職から大学教員への転身、夫の死、自分の手術とそれによる後遺症、コロナ禍とあって海外に行くきっかけを失っていた。それが今年の秋、米国シリコンバレーへの視察旅行という名目で海外に出ることができた。円安もあって費用はかなり多額になったが、それを大きく超える成果があった。頭でわかっているつもりの(メディアやネット情報で得た)知識は、その場所の空気を吸い、人と出会い、様々なことを考え、感じることで色を失ってしまう。それに改めて気づかされた。さらに、私にはまだしなければならないことがあるのではないか、とも感じさせられた。

 もう一つ再開したのは、大学教員の仕事が主になっていた時に疎かになっていた「営業活動」である。まだ2025年に向けての種まきの段階だが、つぎの一歩への足掛かりにしたい。

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