長年生きていると、自分の性格についての認識が固まってくる。例えば、私は飽きっぽく、一つのことを集中して行うことが苦手である。若い時から、長時間実験したり、突き詰めてものを考えたりすることが得意ではなかった。今思えば、研究者になりきれなかったのはそのせいだろう。趣味の世界でも同様で、何かに夢中になることが少ない。流行りのゲームなど試してもすぐに飽きる。押しの芸能人もいない。その代わり、複数のことをバランスよく並行して行うことは比較的得意だった。私のやり方は、まず全体像を捉えて、個々の要素に優先順位をつけてこなしていくということである。お陰で、子育てと仕事の両立は(今思えば)それほど苦労しなかった。
ところが仕事となると違う。飽きっぽい私なのに、なぜか50余年間、IT業界で仕事を続けている。別の業界、職種に移りたいと思ったことは無かったと言ってよい。私にとって仕事(ビジネス)とそれ以外(生活、遊び)には大きな差がある。最近それに気づいた。
ここのコラムでも何度も書いてきたが、今年(2024年)の5月から小さなマイクロコンピュータであるRaspberry Pi Pico(ラズパイピコ)を使った電子工作を続けている。きっかけは夏休みの小学生向きプログラミング教室の支援をボランティアで行ったことである。ラズパイピコと様々な周辺機器を購入し、MycroPythonという言語でプログラムを作って動かしていた。例えば次のようなものである。
@温度、加速度、角速度センサーのデータ取得
ADCモーターをモータードライバー、フォトカプラ、スイッチを介して回転制御
B人感センサーで人の近づいたことと離れたことを検知、有機ELディスプレイに表示
C超音波センサーで障害物までの距離の測定
そのためにラズパイピコは2台になった。プログラミング言語はMicroPythonである。
さらに、通信機能を持ってWiFi接続やBluetooth LE通信のできるRaspberry Pi Pico w(ラズパイピコw)を購入し、次のようなことも行った。
@LINE Notifyのトークンを使って自分自身にLINEメッセージを送信
A人感センサーの結果をLINEで自分自身にメッセージ送信
BラズパイピコwをWebサーバとして簡単なWebページを表示、入力データを取得
Cラズパイピコから既存Webページのデータを取得
プログラミングは殆どオープンにされている既存のもののコピーだが、うまく動かないことは多い。その問題解決にはかなり夢中になる。しかし、一旦できてしまうと熱が冷める。それから先に進もうとは思わない。所詮、おもちゃで遊んでいるに過ぎないと思ってしまうのである。仕事で感じるような大きな達成感、充実感が湧いてこない。
遊びとビジネスの違いはどこにあるのだろうか。ひとつ言えるとすれば、遊びはその成果が殆ど自分の世界に閉じているが、仕事(ビジネス)は他者との関係性の上に成り立ち、他者への影響が達成感に結びつくことだろう。達成感の強さが仕事を続けさせる力なのだ。
自分の信念に従って行動する「高い志を持つ、市場価値の高い技術者」を育成します。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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遊びとビジネスの差はどこにある
2024.11.17