あと何年生きられるだろうか。有限であることだけは確かである。一方で、これからの人生で使える資産が有限であることも確かである。地球レベルで限られた資源をいかに減らさず有効に使うか、を考えることは現代の大きな課題である。同様に、個人レベルでも持てる資産をいかに有効に使うかを考える必要がある。
「資産を減らさない」ことだけ考えるのであれば、何もしないのがよいのかもしれない。しかし、そのような生活が果たして耐えられるものだろうか。まず、生きるために必要な衣食住、そして生命を脅かすリスクへの対策は必須である。さらに、生きている間はできるだけ心豊かに、楽しく暮らしたい。
心豊かに暮らすこととは何だろうか。私の場合は、今まで経験したことのないこと、ワクワクすることを『新たに』始めるということである。例えば、様々な国の言語を学ぶための教材や活動のための出費は結構多い。また、無縁だった電子工作をするために、マイコン(Raspberry Pi Pico:ラズパイピコ)と周辺機器、工具の購入にもお金を使っている。
若いころできていたはずなのに今はできなくなったことは沢山ある。例えば、ピアノを弾くこと、専門書を読みこなすこと、重いものを持って長時間歩くことなど。それを訓練しても死ぬまでにどこまで戻せることやら。戻せたところでそれがどんな意味を持つことやら。それはマイナスの量を減らすだけのことである。一方、新しいことを始めれば、それがどんなに小さな成果であっても、ゼロに比べればプラスである。マイナスのことは一旦忘れて小さなプラスを積み重ねていくこと、これが私にとっての心の豊かさを増やすことになる。ポルトガル語が聴きとれるようになったとき、親指ほどの大きさのラズパイピコに40本ものピンをはんだ付けできたときの感動は、忘れられるものではない。
一方で、積極的に減らす努力をしていることもある。ひとつは食材や料理の廃棄である。食材は無駄なく使って廃棄部分を殆どゼロまでにすること、自分で作る食事、出された料理は完食して、絶対に廃棄処分しないことが目標である。自宅では食材選びの段階から調理する量、余った時に冷凍庫を使うなどして対応はできている。問題は外食である。結果として外食は殆どしない。どうしてもつきあいでしなければならないときは、その直前の一食を抜く。そうして、出されたものは全て食べる。これは、かつて多くの食材を無駄にしてきたこと、出された料理を作った人の思いも理解せずに残していたこと、を心苦しく感じているからである。あのとき無駄にしていたものを回収できるとしたら、私の残りの人生を全てかけても使いきれないだろう。
もうひとつ減らしているのは、衣類の新規購入である。まずは過去に購入したものの再利用はできないかを考える。組み合わせを変えて着ることで違ったものに見える。だから、本当に必要なもの(暑さ対策など)、どうしても着たいもの(好きなキャラクタのTシャツなど)以外は増えない。買ったものは徹底的に着る。
こうして、シンプルで心豊かな毎日が送れれば、あと30年は人生を楽しめるかな。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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何を増やし何を減らすか
2024.8.4