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もう待ちきれないよ


2024.6.2


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 ごく小さいマイコン開発基盤のRaspberry Pi Pico(ラズパイ・ピコ)を購入した。理由は、これを夏休みの小学生向きのプログラミング教室で使う予定になっていて、事前に勉強しておかなければならないからである。ラズパイ・ピコが届く前に、4,5年前に夢中になっていて棚の奥にしまい込んでいたRaspberry Pi 3を入れた箱を引っぱり出してきて未使用のジャンパーワイヤ、ブレッドボード、LED、抵抗を見つけた。やっていたことを思い出してきた。一方で、実際に届いたラズパイ・ピコの小ささと、ピンヘッダを自分ではんだ付けしなければならないことから、半端ない不器用でかつ乱視、近視、老眼の三重苦の私などに扱えるのかと心配になった。でも、新しいものへの興味は不安を大きく上回り、何とか動かしたいという気持ちは却って高まった。もう待ちきれない。

 ここ数日の私に届く宅配便の数は異常かもしれない。ラズパイ・ピコをテストするためには必要な、別のタイプのジャンパーワイヤ、追加のブレッドボード、カッター、Micro USBケーブルなどが、通常の日用品(米10K、大豆2K、夏服から絆創膏まで)に加わったからである。宅配業者さんに申し訳ない気持ちはあるものの、大半はポスト投函で済むので受け取る側としては楽である。こうして、あっという間に必要な物は揃い、第一段階のLEDをチカチカさせることができた。

 ちなみに、ラズパイ・ピコのピンヘッダのはんだ付けはまだしていない。自分でやる自信がないので誰かに頼むしかないだろう。はんだ付けしない方法を試行錯誤してみたがうまくいかず、結局、微妙な角度で手でピンを押さえながらつないでテストした。片手でピンを刺したブレッドボードとラズパイ・ピコを押さえつつ片手でパソコン操作とUSBの抜き差しを行い、とまるでアクロバットか人間ジャンパーワイヤか、というひどい恰好である。そうまでしてできたのがLEDのチカだけ?普通ならそう考えるだろうが、それでも出来たら嬉しいものである。物が手元にあるのに、見ているだけでは勿体ないではないか。

 何をするにもじっくり考えて行動しようと思っていたのはいつのことか。この2年ほどは思い付いたらすぐ行動に移すようになっている。なぜなら、これからの自分と比べれば今が一番若くて健康だからである。明日になれば腰痛で歩けなくなるかもしれない、何か病気が見つかるかもしれない。それだけではない。地震などの災害に見舞われるかもしれない。コロナのようなパンデミックが起きればあっという間に数年間の行動が規制されてしまう。高齢者の数年は大きい。80歳代、90歳代の私の知力、体力はどうなっていることか。つまり、今日を逃したらもうできないかもしれない。だから、興味を持ったらすぐにやってみるのだ。ラズパイ・ピコとそれを動かすために買った物の値段を合計しても、飲み会1回分にも届かない。(ちなみに、私は買い物をするときに飲み会の費用何回分かを考える。)

 私の心を動かすのは、これまで触ったことのない物、行ったことのない場所、やったことのない事である。過去の思い出にひたることには興味は無い。早く次のワクワクを見つけたい。高齢者はせっかちだ。もう待ちきれないよ。

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