毎日、神奈川県から東京を経て千葉県に通勤している。使っている路線は、東海道線、都営浅草線、京成線、北総線である。長時間なのでできるだけ窓際に座り、車窓を眺めて過ごす。神奈川県は山が多い。東京に入ると高層ビルに囲まれる。間から東京タワーがちらりと見える。京成線に入ると、色々な形や色の屋根がぎっしりと並ぶ。マンションの色も青、茶色、白、グレーなど雑多である。統一感は全くない。千葉県に入れば全く山が無くなる。時々山のように見えるのは雲か比較的高い建物の屋根である。
毎日、毎日、同じ景色を見ているのにいつも感動するのは、保土ヶ谷駅周辺の山の斜面や崖の上に立つ家々である。大規模なマンションもあれば戸建てもある。よくもまあこんなところに家が建てられるものだ、と思ったり、地震にあっても大丈夫なのだろうか、と心配したり。どうやって家までたどり着くのだろうか、よじ登るのも大変だし、とつい道を探したりもする。しかし道らしきものは全く見えない。本当に不思議な景色である。一度途中下車して近くまで行ってみたいものだ、と常々思っている。
我が家の近くの小高い丘の上に大きなマンションが建っている。犬が生きていた頃、よく散歩で通りかかった。その時のルートは、ゴルフ場を抜けてマンションの脇を通り、つんのめりそうな急な坂を駆け下りて行くというものだった。降りるのは何とかなっても上るのは大変だろう。車を持たない人はとても住めないな、といつも思っていた。さて、今年のゴールデンウイークに家族で県立公園にでかけた。車に乗せてもらい、バスの通る広い道を走ってくと、あのマンションが近づいてきた。するとバス通りは登坂となり、見る見るうちにマンションの横に通りかかった。何と、このマンションはバス通りの脇に建っている何の変哲もない普通のマンションだったのだ。住民はバスを使えばすぐに駅に行くことができる。通勤、通学、買い物など、全く不便はないだろう。
視点を変えて見れば同じものが全く違った様相を呈するようになる。多分、崖の上の家も、後から見れば、バス通りの側に建つ普通の家、普通のマンションなのかもしれない。目の前に家が無いのであるから、窓から見える景色が素晴らしいことだろう。しかし、列車の中からは全く違った建物群に見えている。
話は変わるが、最近、南房総のバス旅行を2回経験した。神奈川からは東京湾アクアラインを利用し、海ほたるで一休みして千葉県に渡る。通勤の際に東京から入ってくる千葉県の景色は全く山が無いのだが、東京湾アクアラインから入る千葉県は山だらけである。海からすぐに山になるので、標高が低くとも十分山の中をバスで走り抜ける気分は満喫できる。千葉県は山が無く平野だけというイメージは大きく覆された。
固定観念にとらわれずに様々な角度から物事を捉えることはやはり重要である。同時に、行ってみて、体験し、観察してみなければ分からないことが多いということも確かである。
通勤途上の車窓から見える不思議な光景はまだまだ存在する。次は何を調べようか。
自分の信念に従って行動する「高い志を持つ、市場価値の高い技術者」を育成します。
「市場価値の高い技術者の育成」を目指して、
コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
トップページ > コラム
こちらから見ただけでは分からない
2017.06.11