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全身の感覚を磨く春


2023.2.12


イメージ写真

 ダイニングテーブルの隅に春の和菓子の写真の載った雑誌が広げてある。水流や桜を象った練り切りなどである。食べていることを想像すれば味、香り、舌触りまで蘇る。私は、洋菓子も和菓子も殆ど想像の世界でしか食べていない。それでも十分楽しめる。味覚、嗅覚の記憶は無くなることはないのだ。しかも、想像なら体に与える影響は全く無い。

 立春を過ぎて暖かい日が増えてきた。つらかったウォーキングが楽になっている。新たなルート開拓をしてみようか。地図を見ないで通ったことのない道に入ってみるのだ。迷った挙句にようやく知っている場所に辿り着く。帰宅して地図を確かめる。後日同じルートを辿ってみる。さらに、それを逆向きに辿る。これが新しいルートの開拓である。

 高齢者にとって筋肉を鍛えること、骨を丈夫にすることは大切である。さらに、様々な感覚を磨くことも(特に認知症予防にとって)重要であると聞いた。私の場合、味覚や嗅覚、聴覚は敏感過ぎるくらいではないかと思っている。塩分の大幅なカットを続けるうちに素材の味が感じられるようになった。パソコンのちょっとした電子音にも敏感である。ここで安心せず、全身の感覚を鍛える訓練をしていこうと思っている。

 ウォーキングでできることなら、あえて迷うことで新ルートを開拓することの他に、鳥の鳴声からその鳥を探すこと、見つからなくともそれが何か推理すること、春の花の色合いの違いを観察することなどがある。今年になって始めたフランス語の学び直しも、読み書きではなく音源の聴き取りと声を出して真似することに力を入れている。それでも一人ですることには限界があるのも確かである。やはり他者とのコミュニケーションと、ウォーキング以外の体を動かす運動も重要だ。

 さらなる全身の感覚を磨く訓練は、仕事と若い人たちとのコミュニティ活動で実現できている。つまり、他人の話を傾聴すること、自分の考えを述べること、小さい子供たちと鬼ごっこをしながら走り回ったり、踊ったりすることが、明らかに全身の感覚を鍛える訓練になっていると感じている。

 発見すること、分析することは脳への刺激になる。新たな事実の発見が大学の講義内容をより深めることなど仕事に必要不可欠であるのは当然であるが、他人との会話の話題作りにも重要である。毎日、新聞記事の中や街中で話題になる事象の発見をする努力をしている。新聞は日経電子版しか取っていないが、気になる記事は日付入りでPCに保管する。さらには、電車の中で見かける外国人の国籍を想像したり、飲食店やスーパーの客の入りを観察したり、自分自身の体の変化、考え方の変化を見つめることなど、発見のための活動には事欠かない。発見したことは必ず文章にしたり他人に話したりしてアウトプットする。

 さて、1年前から電気代の支払額の月別変化を記録してきた。この半年以上、前年同月比で1.3倍程度支払額が上がっていることが分かっている。今年1月の電気代は昨年と比較して0.95倍と久しぶりの減少である。国の補填によるものなので束の間のことだろう。感覚を磨く一環として、記録をすることと同時に省エネ対策の効果も見続けていきたい。

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