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ウィズコロナからの出発


2023.1.1


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 新たな年が始まった。昨年、一昨年とは違った穏やかでかつ希望も感じられる年始である。決してコロナ禍は終わっていないのだが、ウィズコロナで普通の生活は戻りつつある。しかも、コロナ前と比べて良い状態になった面も多い。自分の周囲からそれを挙げてみたい。

 大きく変わったのは大学の授業である。コロナ前に70歳を越えて専任教授から非常勤講師に変わり、コロナ禍でも授業を続けている。2020年度の春学期から全面オンライン授業に変わり、自宅から授業を行うことになった。その後、対面とオンラインを同時に行うハイブリッド授業になり、2022年度は全面的に対面授業となった。しかし、授業のやり方はコロナ前とは全く違う。完全ペーパーレスを実現した。資料の配布、レポートの受付、試験は全てオンラインでできるようにして、対面授業でも紙でのやり取りを一切無くした。それが可能だったのは、大学の授業支援システムやデータ共有システムが完備していたお陰である。その結果として、学生とやりとりする資料、レポート、試験解答の管理、試験の採点などが非常に楽になり、間違いも起こしづらくなった。

 生活面では、外食が殆ど無くなり、飲み会への参加も皆無になった点がある。確かに、それによって人とのコミュニケーションが減ったというマイナス面はあるが、高齢者の健康の点から考えるとプラスの面の方が大きいと思っている。その代わり、飲食を伴わないコミュニケーションを行う活動への参加が増えて、却って付き合いの幅は広がった。

 さあ、ここからが本題である。ウィズコロナはいずれポストコロナになるだろう。しかし、今回のコロナ禍での変化を元に戻してはならない。ここを出発点としてさらに良い方向への変革を行っていくべきだと考えている。それは、別のパンデミックが来る可能性があるからではない。変革は継続することによりさらに効果的に進むと信じているからである。

 先ほどの大学の授業の例でも分かるように、大学の授業支援のシステムはコロナ前からすでにできていた。ただ、我々教員は今までのやり方を踏襲した方が楽なので使わなかっただけなのである。パンデミックの始まりで新しい授業のやりかた(オンライン授業)をしなければならなかったときは、混乱と緊張で大変だった。しかしそれを乗り越えたら新しい世界が広がった。授業の内容をより良いものに替えようとする意欲も増した。

 コロナ禍で始まった新たな働き方やビジネスモデルの多くは、ポストコロナであっても止めるべきではない。勿論、多くの課題が見つかっているだろうが、それをひとつひとつ解決して先に進めればよいのだ。デジタル技術の進歩がそれを助けてくれる。一方、本来必要のなかったもの(無駄)に気づけたという点があれば、躊躇なく無くしてしまえばよい。

 最後に、失ったものを取り戻すことについても考えてみたい。私の場合、高齢者施設で暮らす98歳の母親とは3年以上会っていない。現在も面会ができなくなっている。手足が不自由なので、手紙を送っても返事はなく、電話も取ることはできない。もちろんメールなどできるはずもない。この問題だけは解決策が見いだせない。コロナの収束を祈るばかりである。読んでもらえていることを信じて手紙を出し続けるしかないのだろう。

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