私の大好きなドラマ『相棒』では、主人公とその相棒はいつも「暇か?」と言われている。そして、主人公はいつも「細かいこと」が気になっている。何だか自分のことを言われているみたいである。私が暇なのは事実だし、最近ますます細かいことが気になる。ただ、私の「気になること」は右京さんのそれとはちょっと違うようだが。
今思えば、50歳代までは本当に忙しかった。40歳代までは子育てと仕事の両立、50歳代は大学で学位を取るための勉強と仕事の両立のために。目覚まし時計を3個枕元に置き、早朝の暗いうちに家を出て深夜に帰宅していた。毎日何を食べていたのかも思い出せない。それに比べて今はどうだ。睡眠時間は2時間近く長くなった。夜もゆっくりとテレビを楽しむことが出来る。自由に使える時間は各段に増えた。昔と比べれば、間違いなく「暇で暇でしょうがない」状態と言える。
「気になること」の代表は健康に関することだ。昔と今ではかなり差がある。50歳代までは頭痛がすれば大抵は飲み過ぎのせいだったので頭痛薬を飲むだけ、腹痛がすれば下痢止めを飲んで収まるのを待つだけ、人間ドックで再検査と言われても忘れた振りをして無視、インフルエンザに罹ったことがないのでワクチンも打たずマスクもしなかった。それに引き換え現在は、というと、ちょっとでも頭痛がすれば「コロナか」とおびえ、腹具合が悪ければ「腸閉塞の再発か」と青ざめる。マスクは一生外せないとすら思えるほど体の一部となり、ワクチン接種のために目を血走らせて予約をとる。毎朝の血圧測定で、前日より少しでも高くなると正常値の範囲内にあっても「何か悪いことをしただろうか」と心配になる。
最近気になることは健康以外にもある。電子機器のピッと言う音、スマホに受信があったブーッという音、冷蔵庫の発する音が耳についたり、よく考えればそんなはずはないのに洗濯機の音や掃除機の音が近所に迷惑をかけているのではと心配になったり。子育て時期の我が家のドタバタ騒ぎがどれほど近所迷惑だったか考えもせず、図々しく近所づきあいをしていた頃の自分とは全く別人である。そこで気づいたのだが、細かいことが気になるのは暇だからではないのか。忙しくなればよいのだ。もっと動き回ることだ。
5月の連休の直前から積極的な行動を開始した。ウォーキングのコースを拡大し、新しい目的地を開拓した。新たなコミュニティへの参加、しかも対面での参加も始めた。4月からの大学での全面対面授業と合わせて、コロナ前には及ばないまでもかなり動き回る機会が増えた。その結果どうなったか。新たな問題が発生した。疲れが溜まりだしたのである。
歩き過ぎか足の疲れが抜けない。明け方に脚がつって目が覚める。英語の本(Homo Deus)を読む気力がなく、一向に進まない。却って気になることが増えてしまった。世の中で言われている『ソーシャル二日酔い』というほどでもないが『対面疲れ』はあるだろう。五月病と言われていたものかもしれない。明らかに張り切り過ぎたのだ。
年齢相応の活動量があるのに気づかなければならなかった。少しずつ活動範囲を増やしていくようにしよう。ニューノーマル生活は手探りで慣らしていくことが必要なのだ。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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細かいことが気になるのは暇だからか
2022.05.29