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琵琶湖は桜のオオバン振る舞い


2022.04.17


イメージ写真

 蔓延防止措置が明けた4月上旬、2泊3日の琵琶湖一周の一人旅を決行した。昨年末に予定していたのだが、大雪で列車が動かず断念せざるをえなかった。今回はそれのリベンジ旅行である。東京と米原間の新幹線の往復切符と、京都と彦根のホテルの予約だけして、あとは気の向くままに歩くことにしていた。結局、年末に予定していた通りのコースをたどり、雪ではなく満開の桜を堪能することができた。

 1日目は米原から琵琶湖線で長浜に行き、黒壁スクエアで街散歩を楽しみ、長浜城址のある公園で桜に囲まれつつ琵琶湖を眺めた。さらに琵琶湖線で近江塩津に行き、湖西線で京都まで行った。電車はすいていたので常に琵琶湖の側の席に座り、見られる限り海のような湖を見続けた。どこも桜が満開だった。

 2日目は、午前中に京都御所や平安神宮を巡った。京都駅からはSUICAを使っての移動である。まず大津に行き、ここでも、琵琶湖の湖畔を歩きながら湖と桜を十分楽しんだ。次に近江八幡に行った。八幡掘沿いの桜も満開で、歩きながら遊覧船を眺めるのも楽しかった。日牟禮八幡宮の人出はかなりのものだった。この日は彦根に移動して一泊した。

 3日目は彦根城へ。桜は今回の旅のダメ押しとでも言うくらい咲き誇っており、写真を撮るのに忙しかった。そのうち、天守閣に登る人たちの列がぐんぐん伸び始めたのでやや慌てた。無事天守閣に登り、降りてきたら待ち行列はかなり下まで伸びていた。彦根城周辺の人の少ないお堀端でも桜を満喫した。

ここで旅を終えて新幹線に乗るということも考えたのだがまだ元気がある。さらに足を延ばして米原の先の醒ヶ井まで行った。ここは中山道の醒井宿である。古い町並みを眺めながら歩いた。こちらは殆ど人と出会うことは無かった。勿体ないほどに桜が満開だったのに。地蔵川の澄んだ水に零れ落ちた桜の花びらが美しかった。

 琵琶湖は桜の大盤振る舞いだった。頭の中が桜色に染まるほどだった。しかし、それだけではなかった。もう一つ素晴らしい出会いがあった。こちらが文字通り本当の大盤振る舞いだったかもしれない。私の大好きな水鳥のオオバンである。

 最初は長浜の琵琶湖畔であった。水鳥が沢山いることに気づいて水際まで行ってみると、何とオオバンだった。暑いくらいの季節に琵琶湖にオオバンがいるのか、生息地に帰らなくていいのか、と不思議な思いがした。しかし、2日目に大津に行って驚いた。沢山の釣り人が糸を垂らしているその周りに、オオバンが泳ぎ回っている。陸に上がって餌をついばむ姿もある。湖に沿って歩き続けたがオオバンの数は減らない。琵琶湖はオオバン天国だったのだ。すぐにスマホで琵琶湖とオオバンの関係を調べてみた。琵琶湖で繁殖していて生息地としては全国一とのことである。最初はもっと北の方にいたのかもしれない。渡ってきてみたら餌が豊富で住みやすい環境だったので居ついてしまったのだろう。琵琶湖は人間にとってもオオバンにとっても豊かな場所だった。

 素晴らしい出会いと引き換えに、私の脚の疲労は数日続いた。やはり年齢を感じる。



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