子供の頃、昭和の年号に25を足すと西暦の年号の下2桁になると教わった。私は昭和23年生まれだから西暦1948年となる。これは社会人になってから、子供が生まれてからも有効だった。しかし、平成になって崩れた。次は平成の年号から2を引くと西暦の年号の1桁目になる(平成3年は1991年)と覚えたが、平成が2桁になり西暦が2000年を超えるとこんがらかってきた。しかし、いわゆる2000年問題が救いの神となった。
1990年代のコンピュータ・システムは年号を2桁で記録し処理することが主流であった。入出力は昭和や平成の年号、演算処理はそれを西暦の下2桁に変換して行っていたと思う。2000年になった時にコンピュータで処理される年号が99から00に変わって大混乱を起こすことが懸念された。これが2000年問題である。そこで、プログラムの年号処理の部分を調べ上げて書き直すことが大きなビジネスになっていた。この時の経験から、その後のシステムは年号を西暦4桁で表すことが主流となった。あくまでも個人的見解だが、その効果もあって一般的に年号の表し方は西暦に統一されていったように思う。少なくとも、私が企業に勤務している間は西暦だけを意識していた。事実、孫が平成何年生まれかを聞かれてもすぐには答えられない。
65歳で企業を退職し大学の教員になったとき、様々な書類が西暦ではなく昭和や平成の年号を使うことに驚いた。履歴書、業績書、職務経歴書などを書く際には、西暦の年号と対応する昭和、平成の年号を並べて書いたものを作成して参照しなければならなかった。なぜこんなに面倒なことをするのか。西暦に統一すればいいものを。その理由はやがて分かった。文部科学省に提出する書類が西暦を使っていないからである。ご丁寧に規定のフォーマットまで作って昭和〇〇年、平成〇〇年と書かせる。役所はなぜこんな面倒なことを強いるのか、とため息をつきながら書いてきた。
契約書なども西暦を使わないものが多い。保険証書には、満期は昭和〇〇年となっているものすらある。この〇〇に入る数字に驚く。これはパラレルワールドの話か。先日も、ある契約に関する締結の規程書なるものを読んでいたら、最後の方に次のような但し書きがあった。「なお、平成30年以前の契約の場合は・・・、平成31年の契約の場合は・・・、」と続いている。さて、私は平成何年に契約したのだったか。令和に変わっていたのではないか。頭が混乱してきた。まず今年が平成何年かを知ることだ。令和の年号は平成の1桁目と同じである。ところが、今年は確か令和3年か4年あたりだと思うが思い出せない。家じゅうのカレンダーを確認したが、全て2022年となっている。卓上ダイアリーも2022年である。ようやく年賀状を見ればよいことに気づいた。しかし、めくり続けても2022年ばかりである。数枚めくって「令和4年元旦」にたどりついた。ようやく今年が平成34年であることが判明し、そこから自分の契約年にたどりついた。
いつまでも文書類の年号の表示を西暦に統一しないのは、高齢者の認知症をチェックするためなのか。こんなことに時間を使いたくない。まずは各省庁から西暦に統一して欲しい。
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所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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今年は平成何年なのか
2022.04.10