トップページ > コラム

私の一人酒の条件とは


2021.12.19


イメージ写真

 一人暮らしの私には、当然ながら生活習慣について口うるさく注意をする人はいない。つまり自分の食べたいものを自由に食べ、飲みたいものを自由に飲むことが出来る。その結果として、生活が不規則になったり生活習慣病にかかったり、寿命を縮める可能性だってある。しかし、幸いなことに現在の私の健康状態はコロナ前よりも良くなっている。これは、自己コントロールがうまくできているからではないかと思っている。でも、私が毎日楽しんでいる「家での一人酒」の場合、本当にコントロールがうまくいっているのだろうか。30年前の私なら今の私に「すぐに止めろ」と注意しただろう。当時の私は結構危なかったもの。

 うまくコントロールできていることはどうやって確認できるだろう。40年以上前、私は真面目に家計簿をつけていた。母がやっていたように大学ノートに線を引いて毎日の出費をきちんとつけ、財布の中の残高と比較して1円でも数字が違っていたら目の色を変えて計算しなおしたものだ。しかし数年後、私は家計簿をつけるのを止めた。あの時の解放感は忘れられない。それができたのは、特に無理をして出費を抑える努力をしなくても無駄遣いはしていない、つまり金銭面でのコントロールができることが確認できたからである。

 食べること、飲むことも同じではないか。日々観察して結果を見ることだ。結論から言って、現在の習慣は体に問題が無いようにうまくコントロールできていると思っている。決して無理をしてそうしているのではない。自然にふるまってそうなっているのだ。

 まず食べることについては、塩分、糖分、脂質を抑えた野菜中心の食事になり、それも毎食美味しく食べている。体がその味、その量に慣れてしまって、味の濃いものは美味しくないし、糖分や脂質の多いものは食べると気持ちが悪くなる。もちろん少しは甘いものが食べたくなるので、例えばお饅頭を4分割して一片だけ食べ、残りは冷凍して後で食べるようにしている。以前テレビで同年の女優が同じようなことをやっていることを知った。

 お酒を飲むことについては、自然と2種類のストッパーが働くようになった。一つ目は、私が家での一人酒を楽しむ理由にもなっているものだが、外で飲んだ後の帰宅がつらいというものがある。それを想像するだけで飲み会に出る気が起こらない。結果として、他人につられて飲む、払った費用を取り戻すために飲むといったことが無くなった。二つ目は、アルコール頭痛が起きるようになったということである。いや、昔も起きていたのだがそれを振り切って仕事に出るだけのパワーがあったのかもしれない。今はその頭痛が嫌でたまらない。それを想像するだけで飲む量はかなり減っている。どこかで聞いたのだが、高齢者に飲酒をためらわせるのに「体に良くない」と言うより「飲んだ後がつらい」と言う方が有効であるそうだ。これには強く共感する。少なくとも高齢者の私にとっては、将来の癌になる可能性を減らせることよりも毎日を爽やかに気分よく過ごせる方が大切である。

 30年前の私に言いたい。今の私が一人酒を楽しめるのは自分でコントロールが出来ているからであると。私の生きる目的は「できるだけ死を後回しにすること」であるのだが、その間は毎日を気分よく好きなものを食べ、飲みたいと思っている。



コラム一覧へ