テレビのCMで最も多く目につくのが、サプリメントや健康食品や化粧品の「お試し価格」「今から30分以内のお電話で」の誘いである。すぐに私はこうつぶやく。「危ない、危ない。だまされないぞ」。もちろん健康や美容に関心はあるが、いずれ定期購入に誘導されて抜けられなくなるのは目に見えている。悩みが深ければそれだけ宣伝文句が一条の光のように見えてくるものだ。若い頃に化粧品を定期購入していた苦い経験も頭をよぎる。さらに厄介なのが健康器具である。そもそも場所を取るし、使わなくなれば、後悔の念と家族の厳しい目に耐えなくてはならなくなる。こちらも絶対に手を出すまいと思っている。
先日、送られてきた通販カタログを眺めていたら、足裏とふくらはぎをマッサージする機械が目に留まった。もう10年以上前に買ったことがあったな、と思いだした。当時はダイニングテーブルの下に置いて、よく使っていたものである。しかし、いつしかリビングの片隅に移動させ、そこでも邪魔になってかつての子供部屋(今はガラクタ置き場)に放り込んだのだった。5年くらい前だったような気がする。どうせ暇なのだから、と取り出してきて動かしてみることにした。問題なく動くことが確認できた。使ってみてびっくりした。足裏もふくらはぎも、いつまでも使っていたいくらい気持ちがいい。何でこれを片付けてしまったのか。当時を色々思い出してみた。
10年前に使うのをやめたのは、単に飽きてしまったからだと思う。5年前にガラクタ置き場に移動させたのは、久しぶりに使ったところ足裏にひどい痛みを感じて耐えられなくなったからだった。でも、今は痛いどころか気持ちがよくて止めるのが嫌なくらいである。この変化は何か。思い当たるのはただひとつである。この5年で健康状態、とくに内臓機能が良くなったのだ。サプリメントも運動器具も関係なしに。
5年前は、夫が急死し、愛犬が後を追い、さらに父親も亡くなった後だった。血圧が高く、降圧剤を処方されていた。それを、徹底した減塩と野菜中心の食事、毎日のウォーキングを続けることで、降圧剤を止め血圧を正常値に維持できるようになった。定期的な血液検査の数値も全て正常値である。5年間の努力が足裏マッサージ機で証明されたのだ。
高齢者の私の関心事は、いつコロナワクチン接種ができるか、である。地元では予約受付は5月の下旬、接種開始が6月上旬である。既に予約を開始している地域では予約できない事態が多発している。仕事との関係など考えたとき、今年中に接種は無理かもしれないと覚悟を決めていた。しかし、ここで一条の光が差してきた。東京都心に大型の接種会場を国が設置するとのニュースである。都内の大学に講義に通う私ならこちらの方が都合がよい。千載一遇のチャンスかもしれない。しかし、対象のワクチンはまだ承認されていないし、接種予約方法すら分からない状況ではぬか喜びになる可能性はある。一条の光でトンネルの出口が見つかったわけではないことは肝に銘じなければならない。冷静にならなければ。
健康になるために地道な努力が必要なように、コロナ対策はマスク、手洗い、三密回避の行動の持続しかないのだ。最後の砦は自分の振る舞い方だけだ。つらいけれど。
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コンサルティングと研修のサービスを提供します。
所長:石田厚子 技術士(情報工学部門)博士(工学)
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一条の光のように見えても
2021.05.02