トップページ > コラム

ワクチン接種に揺れる思い


2021.02.28


イメージ写真

 現在の私の最大の関心事は、オリンピックでも女性蔑視でも株価の3万円超えでも総務省官僚の接待でもなく、新型コロナワクチンの接種時期である。かなり前から、副反応の恐れが殆ど無いこと、国民の多くが接種することで集団免疫ができる可能性があることなどを認識していたので、打たないという選択肢はないと考えていた。でも、私などに打つ資格があるのだろうか、という気持ちが拭えないのも事実なのである。

 私は現在72歳なので3600万人いる「高齢者」に分類される。医療従事者に次ぐ順番ということになる。でも、私自身は最も感染リスクが低いと思っている。一人暮らしで、仕事はオンラインだけだし、電車での移動やウォーキングはしても、誰とも会話はしていない。既往症も基礎疾患もなく、お薬手帳も持っていない。外食や旅行もしていないしする気もない。一体いつどこで感染するというのだ。私などより、介護職の人や基礎疾患を持つ若い人に先に打ってもらうべきではないのか。さらには、経済活動に貢献している働く人たちに先を譲り、私は最後でいい。少なくとも2月の初めまではこう思っていた。

 2月半ばになって少し考えが変わった。大学の授業がハイブリッド形式(学生を半分ずつに分けて教室での対面授業とオンライン授業を同時に行うもの)で行うことが分かったからである。毎週、大学に通って授業をすることになる。確かに感染リスクは高まるし、もしも感染したら学生たちにも迷惑をかける。やはり社会的責任があるので、順番が回ってきたらすぐに申し込むことにしよう、と考えを固めた。孫に会える日も早まるかもしれない、との期待も少しあった。

 さて、それから1週間も経たないうちにまた揺らいできた。ワクチンがいつ入ってくるか、十分行き渡るのはいつなのか未定だと言うではないか。これではワクチン争奪戦になりかねない。高齢者であっても最初(1人目)と最後(3600万人目)ではかなり時期に違いが出そうである。となると、私などは3600万人目でもよいし、どうせ遅れるのであれば、私よりリスクの高い若い人に順番を譲るべきではないか。大学にはマスクを二重にして行くなど、今まで以上に徹底した感染対策を取ることにしよう。

 こうするうちに、考えるのが無駄のように思えてきた。そもそも、ワクチンが入ってくるのも、私に順番が回ってくるのも、その時期は神のみぞ知ることであって、自分の意思で決められるものではない。そんなことを考えるより、しっかりと大学の授業の準備をすることの方がずっと大事である。現在は、授業の中身を充実させることと、いかにうまくハイブリッド授業をこなすかを色々と検討することに時間を費やしている。

 そんなわけで、私がコロナワクチンを接種するのは3600万人目でも、5000万人目でも、いや、打ちたい人が全て打ってしまって余ったらでもいいのではないかと思っているのである。となれば、今年中は多分無理だろう。来年には孫にも会えて、国内旅行もできるようになるといいのだが。

 あれ、また最初に戻ってしまった。



コラム一覧へ