トップページ > コラム

飲みたくなったら一人酒


2020.11.29


イメージ写真

 抜けるような青空が続いた11月もいつの間にか終わりに近づき、冬の気配が感じられるようになった。毎日のウォーキングでは色とりどりの落ち葉を掻きわけるように歩いている。紅葉はますます紅く、銀杏も黄色く輝いている。観光地などに行かなくても、住宅地を歩くだけで日本の四季の景色の美しさを実感することができる。

 新型コロナの感染者は急激に増え、特に重症者の増加が問題になっている。冬になれば増えるのは想定されていたことであり、驚くにあたらない。有効なワクチンが国内で使われるとしても来年の夏、それが行き渡ってコロナが収まるのは来年末だろうと私自身は思っている。すなわち、あと一年は引きこもり生活が続くと覚悟している。

 以前もこのコラムで書いた通り、GOTOトラベルもGOTOイートも脳内だけで済ませて、リアルな世界では無縁である。11月の後半の3連休の状況をテレビで繰り返し流していたが、観光地に群がる人の波、渋滞する車の列を見るたびに「こんなにしてまで紅葉が見たいのか、近所でも見られるのに」と思ってしまった。そして何より、口に食べ物を入れるたびにマスクを取り、飲み物を飲むたびにマスクを取るマスク会食にはあきれる。何とも味気ない。そんなにしてまで会食したいのか。美味しいものは家族と、あるいは一人で食べればよいではないか。飲みたくなったら一人酒が一番である。マスクなど必要はない。大勢でしゃべりたい?それならZoomでも使ってオンラインですればよい。

 こんな私の思いとは違って、私の知り合いも含めて結構多くの人たちがGOTOトラベルやGOTOイートを使っているようだ。皆、お得に弱いのだ。マスコミの煽りもすごかった。「一泊〇万円のホテルに泊まって、GOTOトラベルと地域のキャンペーンの適用と地域共通クーポンをもらって実質〇百円!」などと煽られると「行かなきゃ大損」した気分になる。お得が好きというより、損したくない気持ちの方が強いのかもしれない。だから密集した観光地に繰り出す。怖いのは移動ではなく三密状態である。

 見方を変えてみよう。例えば3万円分の衣料品が入った福袋が1万円で買えるとしたとき、買わないと2万円損した気分になるかもしれない。でも実際は、着る機会のないものが沢山詰め込まれていて、役に立ったものは1万円以下ということが多い。一見お得なGOTOトラベルでも、クーポンを使うために必要もないお土産品を買い、必要もない高いルームサービスなど頼んだりしても、損はしていないにせよお得だろうか。何より、帰宅してから2週間くらい(感染していないだろうかと)ビクビクして暮らさなければならないのだ。まあ、経済活動に貢献していない身としては偉そうなことは言えないのだが。

 ところで、マスクをかけずに近所の人と立ち話をしている人を見てどう思うだろう。私はドキッとする。知り合いのご夫婦と一緒にホームパーティーをしているリッチなご家族の映像(マスクなどしていない)をみてどう思うだろう。私なら、知り合いが感染していないとどうして信じられるのか、と心配になる。あと一年どう過ごすかは人それぞれである。私は、「会話するならオンライン、飲みたくなったら一人酒」が一番だと思っている。



コラム一覧へ