トップページ > コラム

意識と記憶は未来の予測のためにある


2020.11.01


イメージ写真

 このコラムで何度も書いてきたが、私はかなりの心配性である。何をするにもありとあらゆるトラブルを想定しては心配してしまう。そしてトラブルが起こったときのダメージをできるだけ少なくする準備をする。にもかかわらずトラブルは起きるので、心配の種は増える一方である。

 最近は高齢者ならではの危険に敏感になっている。まずは、暴走車にはねられないように、ウオーキングの際は歩道の車道から離れた場所を歩き、信号待ちのときもできるだけ物陰に入るように一歩下がる。信号機のないところを横断することは決してしないし、信号が青でも左右をよく見てわたる。私にとっては新型コロナよりも交通事故が恐怖である。

 詐欺ももちろん怖い。かなり前から固定電話は留守電の設定にして出ないことにしている。親戚や知人には携帯の番号を伝えた。新型コロナ禍が始まった頃からは、宅配便も対面では受け取らないことにした。書籍はポスト投函してもらえる。その他の物の場合は、在宅であっても宅配ボックスに入れてもらっている。

 最近、さらなる不安が襲ってきた。ドコモ口座を使った不正な預金の引き出しである。私は原則として現金を使わないので、どの預金口座ももう何年も記帳していない。オンラインで入出金を確認できない口座もあり、慌ててオンラインサービスの申請をした。この時期なのでかなり本人確認など面倒だったが、何とか不正送金のないことを確認し胸をなでおろした。しかしこれにも落とし穴がある。直近2か月分の入出金しか確認できないのだ。うっかりしてチェックを忘れる恐れがある。習慣づけをしなければなるまい。

 先日、ある口座の入出金をパソコンで確認していたら、「A(会社名)リヨウキン」という引き落とし記録があった。A社のサービスなど契約していない。しかも、前月には引き落とされていない。その前の状況が分からない。パニックになってしまった。詐欺であればネットに情報があるかもしれないと、「Aリヨウキン」で検索してみたら、「B社はサービス料金の徴収をA社に委託したので、口座振替の場合は『Aリヨウキン』と記帳される」というお知らせ(しかも1年半も前の)が見つかった。そういえばかなり昔にB社からメールが何度か届き、こんなことが書いてあったことを思い出した。慌ててB社のサービスのマイページにアクセスし確認したところ、このメッセージに加えて、口座振替の際は別途振替料金が加算されること、少額の場合は複数月をまとめて振替えること、が書かれていた。何と私は1年以上この事実に気づいていなかったのか。毎月の請求額内訳を確認し、数字がピタリと合ってほっとした。これをきっかけにして、自動引き落としされている公共料金やサービスとその引き落とし口座やカードを全てチェックした。その数は半端ないものだった。

 最近読んでいる本は「意識の進化的起源」(ファインバーグ、マラット著 2017)である。そこに、記憶や意識は生き残りに向けた未来の予測そして創造性のためにある、といった内容のことが書かれていた。恐怖の意識と様々な記憶の棚卸は生存のために、さらなる幸せな人生のために必要なことではないか。私を心配性と笑うなかれ。



コラム一覧へ