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プレゼンテーションのリスクは無くならない


2017.01.29


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 大学の卒業研究の発表会が無事終わった。内容についてはここでは述べないが、全員が力を出し切ったことだけは確かである。実は、夏の中間発表会では、プロジェクターとPCの接続トラブルがあり、プレゼンの時間が押してしまった、ということがあったので、今回は十分に対策を取った。

 私の研究室で発表する学生は4名である。発表順は連続しているので、最終のパワーポイント資料は全員分私のPC(Surface Pro3)に入れておき、最初にプロジェクターとつないだら途中のつなぎ替えが無いようにした。さらに、各学生は自分のプレゼンと質疑応答が終わったら自分の資料を閉じ、次の学生のプレゼン資料を開いてスライドショーに切り替えるところまでしてバトンタッチするという形をとって時間の節約に努めた。もちろん、私のPCが不具合を起こすことも想定して、各自が自分のPCを持ってくることも忘れていない。

 今回はうまくいったが、私自身は、プレゼンテーションのトラブルをよく起こす。授業を始めようとしたらプロジェクターとつながらなかったり、授業中に画面が消えたり、は日常茶飯事である。大学以外でも、常にトラブルがあることを想定していなければならない。むしろ、うまくいくことが珍しいくらいである。せっかく準備した講義や講演もプレゼンテーションでトラブルを起こしたら効果は半減である。だから、リスク対策にはかなり力を入れてきた。

 大学はともかく、外部の会場では可能なら主催者側に資料を送っておく。さらに可能なら、その会場のPCとプロジェクターを使わせてもらう。自分のPCを使う場合は、RGB、miniポート、HDMIの相互変換ケーブルを揃えて持っていく。それでもつながらないときは資料をコピーして配布するしかない。

 その昔、オーバーヘッド・プロジェクターが主流だった時代は、クリアシートに印刷した資料(重い)を持って行った。殆どトラブルはなかったが、光源が切れるなどのトラブルを想定して、紙に印刷したものも併せて持って行った。いざというときコピーして配布するためである。PCでのパワーポイントのプレゼンテーションに変わっても、プロジェクターとの接続トラブルは非常に多かったので、合わせてクリアシートと紙の資料も持って行った。一番荷物の多い(かつ重い)時代だった。

 それにしても、これだけIT化が進んでいるのに、プレゼンテーションのトラブルはなぜ無くならないのだろうか。一つ考えられる理由は、古いプロジェクターが使い続けられる一方でPCがどんどん新しくなっていることである。特に軽量化を図るために入出力ポートは極力減らされている。PCの対策は所有者自身が行えるが、プロジェクターはその場所に行ってみないと分からない。つなぐ悩みから解放されてプレゼンテーションの中身の充実に専念できる日が早く来て欲しい。

 それはともかく、何事にもリスクはつきものである。手抜きをせず、頭の中で十分なシミュレーションをした上で万全の対策をとる姿勢は大切である。



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